第8話 女子高生、通学をする。
午前7時30分。わたしはバス停で、茗荷谷女学院のバスを待っている。
剣道道場の一人娘の朝は早い。わたしは朝6時に起きると、道場でおじいちゃんと朝稽古をする。
おじいちゃんの稽古は優しい。稽古中のほうが普段よりも優しいくらい。
孫だから……てのもあるけれども、息子(わたしのパパ)を超スパルタで鍛えた結果、道場に近寄るだけで過呼吸になってしまう体質にしてしまったことからくる、反省とのことらしい。
要するに、息子に厳しく当たりすぎて剣道道場をついでもらえなかったおじいちゃんとしては、孫であるあたしに、どーーーーーーーーーーーーーーーーーーしても跡を継いでもらいたいってことだ。
ま、わたしも別に将来の夢なんかないし、剣道は嫌いじゃないから「それでもいいかな?」 って思っている。
「おはよう! ワンコ」
わたしは背中から声をかけられて振り返る。
「新しい朝がきたねー。希望の朝だ!!」
「うん」
意外かもしれないけど、
わたしも、
それを朝夕2回、毎日、やっているのだから大変だ。
テストの成績も優秀だし(サイコロ転がしてるだけだけど)
でも……
「あら、
わたしは、背中から声をかけられる。
「ごきげんよう、
「ごきげんよう、
わたしと、
あれ?
そんな
「今日も縦ロールがバッチリ決まってるね!」
「高等部編入組が、気安く話しかけないでくださる? ほら、
はじまった。幼稚舎入園組の編入者いびりだ。
茗荷谷女学院には、明確なヒエラルキーが存在する。それを決めるのは、成績とか容姿とかじゃない。茗荷谷女学院の生徒になったタイミングだ。
幼稚舎からの生徒は純血と呼ばれてヒエラルキーの頂点に君臨し、そこから初等部編入組、中等部編入組、高等部編入組とつづく。
特に中等部編入組からは、明確な線引がされていて『雑種』と呼ばれている。
「ほらほら、雑種はさっさと立ち去りなさい!」
面と向かって雑種と言われた
「ええ!? ワンコ、アタシと一緒にいると迷惑?」
「ううん、そんなことないよ!」
絶対そんなことない。たまに距離が近すぎて、ちょっとウザく感じるときもあるけれど、迷惑だなんてとんでもない!!
わたしは
「わたしが、誰となかよくしたって関係ないでしょ!!」
「ま、幼稚舎組のわたくしに向かって、なんたる暴言! これだから初等部組は……」
わたしと
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