第2話 女子高生、ダンジョン配信デビューする。
翌朝、わたしは、待ち合わせ場所の
服装は、トップスがジャージで、ボトムスはショートパンツに九分丈スパッツ。ダンジョンで汚れてもいいようにスポーティーないで立ちだ。
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ダンジョンがこの世に現れて18年ほど、世界は大混乱に陥ったらしい。
なかでもダンジョンが多発した日本は、諸外国に国家の存亡を危ぶまれるほどだった。
でも、とある財閥系企業の発表が状況を一変させる。
モンスターがドロップする宝石のような物体『シェールストーン』。その中に閉じ込められてあるキラキラと光る『マナ』を抽出することで、エネルギー資源として活用できることが判明したからだ。
以降、ダンジョンは貴重なエネルギー資源の採掘場所となり、日本国は世界一のエネルギー産出国となった。
……らしい。
ま、教科書で教わった、ただの受け売りだけれど。
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『次は
わたしは、最寄り駅につくと、改札に向かう。わたしと同じように、スポーツウエア姿の親子連れやカップルが、ぞくぞくと改札に向かう。
その手には、さまざな武器を持っている。
かくいうわたしも、腰にレディース向けの『ショートソード』をぶら下げている。
9時25分、あたしは待ち合わせ場所の『
10分後、待ち合わせの時間から5分遅れて
「はぁ、はぁ、はぁ、早いね、ワンコ」
「あんたも思ったよりは早いじゃない!」
「じゃじゃ~ん! 今日はこれを着てダンジョンに行こうと思って!!」
「ええー!!」
リッカが手に持っているのは、ピンクとオレンジ色の、まるでアイドル衣装のようなコスチュームだ。
「大人気ティーンダンジョン配信者、
「え? わ、わたしも!? ちょ、ちょっと待ってよ」
わたしたちは更衣室を出た。
「な、なんだか恥ずかしいよ。おなかがスースーするし……」
「平気、平気、めっちゃ似合っているから!」
そう言いながら、
そんじゃ、カメラの準備するから!
「え!? カメラ!?」
「そう、ダンジョン配信!! お小遣いをはたいて買っちゃった!!」
「それじゃ、本番行くよ!」
「本番っえ? え? そんなこと言われても心の準備が……」
「本番まで5秒前!」
テンパりまくるわたしをガン無視して、
「はい! 始まりました。女子高生ダンジョン配信『JKエクスプローラー』! 記念すべき第1回目の配信でーす!! ぱちぱちぱちー」
わたしもつられて拍手をする。
「早速自己紹介! アタシはロゥファ! 高校一年生。特技は裁縫でーす」
は? ロゥファですと??
ずるい。
「そしてとなりにいるのが……」
「わ、わた、わらしは、ワンコ! 高校一年生です。ワンワンわん!!」
わたしはとっさに自分のあだ名を叫ぶと、両手でグーを作って犬の鳴き真似をする。
「今日は、最近一般に開放された、
「よ、よろしくね!!」
わたしは精一杯の作り笑いをしていると、
「わ、見てみて!! いきなりギフトが届いてる!! すごいすごい!!」
うん、わたし、怒ってもいいよね?
「ちょっとちょっと
「どうもこうも、見ての通りよ。アタシたち、たった今ダンジョン配信デビューしたの」
「デビューって!! そんなの聞いてないよ!!」
「そりゃそーだよ。ワンコのことだもん、事前に話したら絶対やってくれないじゃん。それよりみて、たった数分の配信で、コメントめっちゃ来てる! あ、『ワンコちゃんかわいい♥』だって」
あ、ホントだ……嬉しい。って流されてる場合じゃない!!
「あ、あの、
「さ。次はダンジョンから配信するよ! 急いで急いで」
「ちょ、ちょっと
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