ロゥファとワンコのゆるゆるダンジョン配信記。-どこにでもいるJKが日本の命運を背負うようです-

かなたろー

第1話 女子高生、休日にダンジョン探索をする。

「ねえねえ、ワンコー、明日ダンジョンいかない?」


 ある日の放課後、親友の辰野たつの六花りっかが話しかけてきた。金髪をサイドテールにした、絵に描いたような陽キャだ。


「いいけど、六花りっか、来週から期末試験だってこと忘れてない?」

「へーきへーき、そんなもの鉛筆で作ったサイコロ転がしときゃなんとかなるっしょ」

「それはアンタだけ。ホント、運の無駄遣いなんだから」


 六花りっかはやたと運が良い。


 テストの答案もそうだし、商店街のくじ引きで、一等とをゲットするのをなんども見てきた。実家は、神楽坂の近くにある恋愛成就で有名な神社なんだけれど、御利益なんだとしたら、ずいぶんと罰当たりな使い方だ。


「じゃあ決まり! 裏鬼門うらきもんのダンジョンの前に、9時半に待ち合わせで!!」

「9時半? 開園まで30分あるじゃない」

「ちょっとした準備があるのよ。明日のお楽しみってことで!!」

「……まー……いーけどさ」

「そんじゃ決まり! 遅れないでよ!! アタシは準備があるから、じゃね!!」


 六花りっかは話を一方的に打ち切ると、慌ただしく教室を出ていった。

 準備ってなんだろ? 悪い予感しかしないけど……。


 ま、いいや、わたしも帰ろう。


 神のご加護なんて持ち合わせていないわたしは、参考書を読みながらバスに揺られて家路につく。


 わたしの名前は犬飼いぬかい一子かずこ。ニックネームはワンコ。安直なニックネームだけど、わたしは結構気に入っていた。


 せっかくだ、明日は六花りっかのために、サンドイッチでも作ろうかな。

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