2 無性・無産・不死人間の時代(15)
しかし、〝無性・無産・不死人間”が大多数を占めるようになった世界の平和は、思いのほか、長くは続きませんでした。パートナーが見つからない悩みも、男女の差別も、子育ての負担も、貧富の差も、技術や知識の伝承、つまり教育の難しさも、そして、死の不安も全くない社会は、きっと争いの無い穏やかな満ち足りた世界であると人々は疑いも無く想像していました。しかし、それは全くの間違いでした。
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