2 無性・無産・不死人間の時代(2)
二人はそれぞれの〝スマカ〟に乗って、連れ立ってジャイアント広場へ出かけました。誰もが〝スマカ〟と呼ぶのは、空飛ぶ自動運転車です。もちろん静音で無公害で省エネのエレクトリックカーです。通信・検索・計算機能がビルトインされているパーソナルコンピューターカーです。おそらくスマートカーの略称と思われます。広場と呼ばれますが、超巨大な有機ガラス張りのドーム状の透明な建物の中です。と言ってもあまりに大きすぎて、むしろ遠い巨大な城壁に囲まれた公園のようなものですので、ジャイアント広場の名称はしっくりきます。
ジャイアント広場には、ばらばらと人々が集っていました。どの人の顔も皆、超高齢に見えました。そのせいか、性別が分かりません。そして、青少年や子供たちの姿は全くありません。広いせいもあって、人がたくさんいる割にはまったくもって静かです。秋の穏やかなあまりまぶしくない晴天の動画がプロジェクトタマッピングで映写された屋根もあり、空調も効いていて、しかも音響吸収の透明仕切りもあるので、快適な静寂空間です。それにあまり明るくないです。おそらく無駄なエネルギーは使わないという精神からでしょう。しかし、とても落ち着いた空間でした。
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