1 両性人間の時代(14)

 もっと決定的だったのは、形態異常児(かつて奇形児と呼ばれた)の激増でした。出産前から問題が分かっていても、すべての受胎した命はこの世に導き、国が保証していました。ここには長年熟成されてきたダイバーシティーの精神が生きていました。あらゆる生命を尊ぶという正しい精神が法律に反映していました。ですから、かつてSF映画でしか見たことのない、いや映画でさえも見たことのない形態異常な人間が、町の中に増えていきました。そして日常化しました。本当の意味のダイバーシティー社会だったかもしれません。しかし、その人たちへの難病指定医療費の国費負担はさらに国の財政を圧迫しました。

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