1 両性人間の時代(10)
「エミ。明日、私、シンシーのところ行ってくる」
エミさんは動揺することなく答えました。
「わかった。遅くなる?泊まってくる?」
「ああ、二泊三日で二人で楽しんでくるよ。エミもタローのところで泊まってきたら」
「そうだね。それより来てもらってもいい?こっちに?」
シンくんは思いやりにあふれて答えました。
「そうか。でも彼は出産したばかりでまだ安静にしていた方が良くない?」
飽食の時代ならぬ、〝飽性〟の時代と呼ばれ、かつてパートナーを見つけるのが困難だった時代は遠い昔の話になりました。子育て費用の高負担やキャリヤの分断の回避のために子供を産むのを避けることもなくなりました。すべての赤ちゃんは生まれた時から国が金銭面含めて完全に面倒を見ますから、子供たちはみんな生まれた時から経済的にも社会的にも平等です。大人たちは皆自由でおおらかな〝真・フリーセックス時代〟の到来を謳歌しました。当初はコンビニセックスと揶揄もされましたが、それでも、パートナー探しと子育ての不安と経済的負担から完全に解放され、国の少子化問題も完全に解決です。最高の社会が完成したと人々は思っていました。
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