後宮の斑姫~次代巫女継承譚~
千田伊織
第0話 はじまり
その日の議会は大荒れだった。
「
玉座に腰掛ける、顔を白い布で隠した
各地のムラ人らがどこまで都の事情を知っているのか
巫を
これは今代最大の課題であった。
現在の法で
どちらかの条件を満たすなら、どんな人間でも良かった。
しかしそれ以前の問題なのだ。
巫が子を望めない身体であるのは周知の事実だ。そして血筋のものは親近婚のせいで
対して神の子は、このクニの神話である
これは捨て置けぬ事態だった。
「やはりこれは法を変えるべきです。
議会で最も巫に近い男が
「あるいは巫さまの政治介入の制限を」
「ならぬ」
巫は男の意見をばっさりと切り捨てた。
「それだけはならぬ。
議会に鋭い空気が走る。男共だけでは信用ならんと言う発言に、男は顔を引きつらせた。
「で、ですが巫さま。どういたすおつもりで──」
「ユイ。馬の用意はできたか」
少しだけ息を上げて議会場にやってきた
男はいつも仕事の速い巫のお付きの
「どこに行かれるおつもりですか?」
「
そう。数日後には奉納祭が
このやんごとなき御方は馬に乗り、都を離れなくてはならない。つまりその間、議会は停滞する。
「巫さま」
「
巫は男にきっぱり言い放つと、議会場の大扉を強く閉めて出て行った。
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