第3章 新大陸No.7
ーーゼット視点
数刻前、夜更けにガルシアが大勢の集団を引き連れてアジカの大陸の端、つまりアメール海付近に帰ってきた……“大勢の集団”といっても50数名で無理すれば一緒に暮らせる程度なんだけど…なんだけどさぁ…コチラ側がミスをすれば確実に全滅してしまうんよ!
「はぁ……」
ゼットは大きくため息をついた……それはそれは大きく…。
“なぜ、あんな奴に付いてきたんだろう…ガルシアはリーダーとして、一戦士として尊敬できる…ただ…ただ!!自由すぎる!!
リーダーとして新しい地に入った時、みんなの模範になるべく先頭を走っていたのに、蓋を開けて見れば知らぬ間にどっか行っている…まぁ、置き手紙はあったよ。あったと思うけど……何か違うんだよなぁ……俺の理想のリーダーは…。
「……ゴメンね。知らぬ間に増えてちゃった❤︎」
「……アンタね…まぁ、幸いなことにギリギリ食料はいけるんスけど…」
“俺の考え方に斜め上をいっている…”そう俺は大きくため息をついた。と同時に“ここは新大陸のための試練なんだ!ここは我慢だ!”と心の底から言い聞かせる。
「本当にすまない…少しでも邪魔だったら町に端に置いて欲しい…それでも邪魔だったら神を説得して新しい新天地に出て行こうと思うのだが……」
新天地の戦闘民族は申し訳なさそうに俺の所までそう言ってきた。
“なんて人が出来ているのであろうか…”
俺はその言葉に心が癒されるように感じた。
「食料はこの近辺を出て狩りに出ても良い。絶対、そちらの迷惑をかけない!…なので、住まわしてはくれないだろうか?」
「いやいや、会議のルールには決めないといけないけど、俺個人としては大歓迎!!…なんだけど、どっかのバカリーダーが勝手に進めるモンだから…」
俺はガルシアの方へ向いた。ガルシアはあまり気にしておらず、あさっての方向へ向いていた。
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
ターケンは目を輝かせながら“ガッチリ”と両手で握手をしながら、何度でも何度でもお礼を言った。俺も何だが嬉しくなって思わず照れてしまう。
すると、シルバードラゴンはコチラへ向いた。
「な?言ったじゃろ?…まぁ、たとえワシが反対しても、無理やりでも賛成するけどなぁ…どんな手で使ってもじゃわい」
シルバードラゴンは自慢げに話を終えた…いや勝手に話を終らせたのだ!
こちらの苦労も知らずに……。
「なんか、安心したら急にクロウに会いたくなったわい。神を連れて行くぞよ」
「………」
“…なんか、悲しくなった”
色々、ツッコミどころ満載だが、まず第一に小さいシルバードラゴンだが、何故あんな風に横柄なのか?ちょっと言ってやろうか?と思ったのだが、ちょっと前にルジアム城で王と謁見をした際に
“シルバードラゴンは少し小さめだけど、絶対逆らうなよ!絶対だぞ!”
と言っていたから、逆らったりしないようにしたのだが…正直な所、コレぐらいのドラゴンなら逆らって良いはずなのだが…まぁ、波風はしないでおこう。
「はぁ……なんでいつも、いつも…」
「はぁ……神様が勝手にしてしまうのですか?」
“ん?”
お互いがいつも以上にハモリ出す。それはお互いがお互いのことを想って、口にしたひとり事のように感じるが、そればかりのように感じない。
「なぁ……初めて会ったし、お互い何も知らない。それと何かの縁だ。これから飲みに行こうぜ」
「まだ、初対面だし…と言いたい所だが、上司からの手間。無下には行かないだろう。今夜は付き合うよ」
それを聞いたゼットは“パン!”と背中を叩いてゼットの満面の笑みになる。ターケンも“ニコッ”微笑む。
「よっしゃ!決まりだな!今夜は眠さないぜ!」
ゼットは片手を上げて合図した。ターケンもそれを快く応じ“パン”と手を叩く。
「よっしゃ!決まりだな!ところでよう少し疑問なんだが……なんで、同じ会話で喋っているんだ?」
「さぁ?……あっ、そういえばシルバードラゴン様が言ったのですが“ワシが共通語の魔法をかけおいたぞ”と言っておいたような……?」
「まぁ、いいじゃねーか!ほら、飲みに行くぞ!」
男2人はゆっくりと歩みよって町の中に消えていった。
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