第3章 新大陸No.5

「なんじゃ?ここにおるんか!?」


シルバードラゴンは興奮気味でその言葉を聞き返した。この少年はビビりながらも“シルバードラゴンはこ、恐くなんかないぞ!”というポーズを取る。


「この俺は、最強の戦士……の見習い【少し小さく】『マッド』だ!ただし、条件がある!神を見たら、すぐに村から出て行け!」


シルバードラゴンはその言葉を聞いて凄まじいオーラを発した。マッドも“ガダガタ”震えていたが“負けてなるものか!”と思い、その場に留まる。


「ほぅ……ワシに出て行けと…いい度胸があるのう…」


“おいおい!騒ぎは勘弁せーよ”とシルバードラゴンに声をかけようとした瞬間、シルバードラゴンは“ニコッ”と笑顔になったのであった。


「冗談じゃ!いや〜しかし、あれだけワシが睨みつけても立ち止まった!ホンマに偉いのう。

神の件じゃが一回、話うたら出ていく。それは保証する」

「本当だな?……よし!約束しよう!くどいようだが“神様と話し合ったら出ていく”」

「くどい!!!!」


“……お前、分かってねーな……シルバードラゴンは『悪魔』に分類するんだぜ”

俺は“シラーッ”と目を細めたが黙っていくことにした。

“しかし出まかせな嘘をついているもんだなぁ……この新大陸に着いて面白い発見の連続だ!この武器も気になるし……一度、新しい武器、教えてくれねーかなぁ…?”


俺は“キョロキョロ”と周囲を見渡す。

ダメだ……とてもじゃないか、教えを乞うことが無理そうだ。

俺は諦めてアジカの民のリーダーに従うことにした。



ーーーー


「ここだ……少し待っていろ」


俺は従うべく待っている……シルバードラゴンはいうと……想像してみて欲しい。待ち遠しいシルバードラゴンの姿を…まるで新しいおもちゃに並んで待っているかのようだった。

…シルバードラゴンに対して“オマエ、アホか?”と思ったが、流石に口には出さない。何故なら俺も無駄は殺生はしたくないからだ。いかに地位や権力を持たず、のんびりダラダラ自由に生きていけるのか?

それが俺の最大のテーマだ!

俺は“ニヤリ”と笑った。


「……なんじゃ?ホンマに気持ち悪いのう」


俺の顔を見てシルバードラゴンはドン引きをした。俺は即座に反応した。


「ウルセー!俺の野望があるの!!神様じゃないと教えられないの!」

「ほぅ、神様は何でも言ってくれるんだね」


見知らぬ声がしたので“バッ”と部屋の扉へ向く。そこには少し黒焦げに焼けた、白い髭を生やした中年、もしくは初老に男性がそこに立っていた。


「お、お主、もしかして…神か?」


真顔だった男は急に回転し出してポーズを取る…。


「そうです!神…いや、G⭐︎O⭐︎D……です❤︎

【キラッン】」


俺は無言で剣を抜こうとした。よく見たらシルバードラゴンも口を大きく開き“カチッカチッ”と炎を噴射する準備をしている。


「待て!待て!僕は無力な神です!マイナス思考なら世界一の神です!!」

「すまん……思わず攻撃してしもうた」


シルバードラゴンは“フーッ”とため息をついた。なんせ、シルバードラゴンはワクワク歓喜の状態から落胆の状態だ。

シルバードラゴンは“何も期待しないが、一応調べとこうかな?”の具合で仕方なく調べる。


「…お主は神じゃろ?神だったら無敵は無理があるにしても、そこそこ強いんじゃないのかのう

う?」


シルバードラゴンは“シラーッ”と白い目で神らしい人の方へ向く。


「いかにも、我が名は『アテン』太陽の光の化身。ただし、戦闘はからっきし弱い!子供に負けるぐらい弱い!」


“いやいや、ソレ自慢するとこ無いでしょう?”と俺はツッコミを入れようとしたが、周りの目線が気になって黙っていることにした。何故なら、周りのいる全員が“ピリピリムード”全開で睨みつけているからだ。

だが、空気を読まないシルバードラゴンにお構いなしに続ける。


「アテンと言ったかのう?アテンよ。お主は何じゃ?まさか、このご治世“弱いから付いてきて!”とはならんやろう?」


“しまった…”という顔をしたアテンは、しばらく黙り込んでいたが意を決したかのように素直に話をした。

“これが正解だろうなぁ……シルバードラゴンは何も言わなかったら攻撃してこないが、覚悟を決めると全滅しかねないからな……”


「世界弱小なのに人から尊敬する理由は…『予知』の能力が高いからだ」


俺は衝撃を受けたがシルバードラゴンは“予想内じゃのう”という顔をした。

一瞬“イラッ”としたのでシルバードラゴンの後頭部を叩く。


「なるほどのう…予知というものは分かった。ところでのうデメリットとは何じゃ?」


アテンは“ビクッ”という顔して冷や汗をかいてしまった。俺はアテンに対して一瞬の出来事だったように思えたが、それを見逃さなかった。


「隠さんでええ!隠さんでええ!まるで最強と思える技もデメリットを知れば、案外良いウィークポイントになるからのう」


シルバードラゴンは“ニヤリッ”と不敵な笑みを浮かべアテンの方へ向いた。アテンはというと“まいったなぁ…”と観念したように首を振ってしまった。


「ふーーっ……分かりました。シルバードラゴン、アナタの勝ちですよ。正直な所を話しましょ。予知のデメリットは……」


アテンは真面目な顔でデメリットについて話をした。神様としてアジカの民の一員である事。普段なら戦闘はからっきし弱いため、農業を勤しんでいる事、予知は使わない限り発動しないため簡単に騙されている事、そして1番の敵である『バロン帝国』で全滅しかけそうになったが、予知の連続で難を逃れた事、難を逃れたと同時に倒れてしまった事を話した。


「……そりゃ、大変でしたね。アテンさん……」

「うむ!決定じゃ!アテンよ!ワシの所に来い!」

「…………」


アテンは“は?…”という顔をしている。俺は思わずシルバードラゴンの首根っこを掴み、往復ビンタで応酬をしたのであった。

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