第6章 旅立ちNo.2
「そりゃ、災難じゃのう…」
ここは中型船の船。
何故大型船ではなく、中型船で出発するのかというと中型船は多少、揺れるが人数が少なく扱いがカンタンなためである。
話し合いをした、現の船長、セシム(初めて知ったが…)が「もし、数%で沈没するのであれば人数を減らしたい」と訴えてきた。
俺は少し疑問に思い「何故減らすのか?」と聞くと「沈没するのは構わないが、家族のことを思うと偲びない。それと、もし沈没したなら培っていた技術も失われてしまう。今の技術が追いつくなら、数10年もかかってしまう…だから、リスクを回避するために人数を減らすんです」と応えていた。
「そりゃ、納得せざるを得ないよなぁ…」
王政や運営など忙しい中、進んで駆けつけてきた、アゼルは首振ってしまった。
「まぁ、急な話じゃ。少しのリスクは付きものじゃからな」
チャンドラは“フーッ”と一呼吸をおいて口にした。それを聞いた船員達は、それに対して“ジートッ”と白い目線が注がれた。
「なんじゃ?しっかり働かんか!?」
チャンドラも白い目線のことを気付き、大きな声で声を荒げた。
「ったく」
チャンドラは“何か文句を言おうとかなぁ”と口にしたが、通常の業務に戻っていたため口をつくんだ。
「ところでセシムの方は?」
アゼルはガストンが居ないことに疑問に思った。
「ん?あぁ、セシムは爆睡中。“オルールの所を出発する前に行こうかな?”と考えたんだけど、やはり無理で爆睡中」
“そういうば、そうなのだ”
今日出発するためには話し合いをしないといけなく夜明けまで議論を交わし細かい所まで詰めていった。
“あっ!そういえば」”とガルシアは思い出し、ポケットの中から切れ端を取り出し、チャンドラの方に手渡しをした。
「なんじゃ?ガストンの手紙か?」
チャンドラはガルシアから手紙を渡されて目を通す。
【手紙】
“チースッ!俺が居なくて寂しいか?だったら、月を俺に…”
チャンドラは手紙の途中で“グシャッ”と握りつぶす。なんだか、怒りに満ちたオーラを醸し出されていた。
それを見た、ガルシアは違う手紙のことに気づき、慌てて別の手紙を渡した。
「ゴメン!ゴメン!間違えた!」
ガルシアは“ペロッ”と恥ずかしそうな顔を見せた。
それを見た、チャンドラは“ジートッ”と白い目線で見たが“これは、一生治らない…”と思い、改めて“ガストンの手紙”に目を通した。
【ガストンの手紙】
“前略、この場いないことをお許し下さい。
女王様のおかげで、サシル共和国との友好関係と書状、承認者であるガルシアを手にすることができました。
本当にありがとうございます。
ただ、一つ不安が点があります。そこで、女王様にお願いがあります……”
チャンドラはその手紙を目を通し終わると、真剣な面持ちでガルシアの方に向き合い、自分の懐に納めた。
「ガルシアよ。ガストンに会ったら伝えてくれ。“あい、分かった”と」
ガルシアは“手紙には何て書いてあったのだろうか?”と少し興味が湧いてきた。
「決して、詮索するではないぞ!オマエからすれば聞かない方が身のためじゃからな」
それを見越したのか、チャンドラはガルシアに対して釘を刺した。
「もうすぐ、出発じゃろ?早く支度せんか」
「おっ!そうだった!又、この国に来るわ」
満面の笑みを浮かべた、ガルシアは別れを告げ、船に走って戻った。
ーーーその10数分後、出航しようと動き出した。
「チャンドラ!アゼル!元気でな!」
ガルシアは大きな手でいっぱい手を振る。それに応えてチャンドラとアゼルも手を振る。
中型船は最初は大きな姿を見せていたが、段々小さくなり、やがて船が見えなくなってしまった。チャンドラとアゼルの二人は見えなくなるまで、海を見つめていた。
「行ってしまいましたね…」
アゼルは感慨深そうな声で呟く。
「行ってもらわないと困るんじゃ。どれだけタダ酒を飲んだと思っとると思うのじゃ?」
チャンドラの一言に対して、アゼルは“クスッ”と笑ってしまった。
「なんじゃ?現にガルシアはこの国を見て貢献したと思う?クーデター事件の時は、凄い活躍したがそれ以外では全然ダメ。アゼルの方が上じゃ。むしろ、お払い箱が居なくなってせいせいするわ。それに、ダマスア王国で活躍してもらわないと困る」
アゼルは“それって、どういう意味…”という言葉が出かかったが、それをやめた。なぜなら、チャンドラもこの国のことを想って、何重先を見据えて発言しているのだ。
“今は信じて、チャンドラの、この国を支えていこう!”そう心に誓った。
「この国、いい国にしていきましょうね」
「全くじゃ」
チャンドラとアゼルの二人はいつまでも海を眺めていた。
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