第5章 王位交代No.3

ーーー3ヶ月後


「もうとっくに謝罪は済んだはずじゃ。そろそろ出てってくれんかのう」


チャンドラは呆れた顔をして椅子に腰掛けた。ガルシアも長い椅子に横になり“ホケーッ”としていた。

何故、この椅子にこだわったかと言うと、ただ単に椅子があったからである。

あの時の怒りは3ヶ月経っても、今直後にあったかのように覚えている。


ーー王宮広場


クーデターの処理が終わった直後、俺ガルシアが隊長であるアイヤールに呼びだされた。


「チース!!なんか、相談したい事があるってサリムから聞いたんだけど何かな?今は機嫌が良いから何でも聞くよ(^^)」


俺は上機嫌で“ニコニコ”しながらこう発言した。だって、あの当時何でも許せそうな感じだったもん。

……“だった”その時は、世界がひっくり返えても“ニコニコ”していそうな感じだったのが、ある男の発言で地獄のような崖に落とされた感じだった。


「あの、カレーの件だけど…この国には存在しないんだ!スマン!」


アイヤールは頭を下げた。1分、3分…アイヤールは恐る恐るガルシアの顔を見た。

ガルシアの顔は完全に思考停止し、この世とは思えない顔をしていた。


アイヤールは凄く同情し、ガルシアのことを励ますように、こう言った。しかし、この事がとんでも悲劇をもたらすのであった。


「なぁ、元気出せよ!あっそうだ!女王に相談しなければならないが、もし許可が出来たらお店を出させるはずだ!…まぁ、カレー以外の店になるけど…」


ガルシアは中途半端はもっと嫌いだった。だって、中途半端に慰めるほど惨めになるからだ。


「……」


そして、ガルシアは段々と怒りが込み上げてきた!俺が怒りに任せて一国を滅ぼしてしまうと、全世界にブラックリストに載ってしまう。ここは違う誰かを派遣して、カレー屋さんを調べてもらう。

その間、暇だからなんか嫌らせを出来ないものかな……?そうだ!


「ゴメン!ショック過ぎて頭が追いつかない」


ガルシアは悲観そうな顔をしていた。もちろん、フェイクである。


「分かったよ。今、怒った所で何にもならないし、もっと建設的な話をしよう…そうだ!ただし、どこか旅出る人を派遣してくれ。誰がいい?」

「サリムだな」


アイヤールは“キリッ”と即答した。チャンドラ親衛隊の中では新人だが、すぐに口出すのもアレだなぁ…。


「よし、サリムだな。サリムに何処か良い所ないか、リサーチをしてくるように報告をする」


“ここからが本題だ!”ガルシアは気を引き締める。


「もう一つは、このソファでサリムの報告を待つ。ただし、このソファは俺の所有物、ガルシアの国。国は所有者が許可を貰わないと無断では動かせない。つまり王様、女王様が謁見してても動かせない」


アイヤールは“えっ”と目を丸くなった。


「えっ、つまり緊迫した状況でも横になるってこと?」


ガルシアは“ニヤリッ”と不敵な笑みを浮かべた。


「その通り!この状況を回避したいのであれば、一刻も早くサリムを派遣してすぐに報告をするんだなぁ」


ガルシアは悪魔的な笑顔になるのと反対に、アイヤールは歯切りをしていた。

“よし!誰にでも困るような復讐をしたぞ!どうだ、見たか!”



ーーー3ヶ月後.つまり今、現在に至る。


カレー屋の恨みは、3ヶ月も経つとどうでも良くなり、今では引けるには引けない状況になってしまった。

“何でこんな事になってしまったんだろう”と後々、後悔している。


トントン


「なんじゃ?入れ」


チャンドラも流石にキレそうな様子で機嫌が悪い。


「お、お取り込み中、申し訳ごさいません。ダマスア王国の一行が会いたいと言ってきたのですが…どうしましょうか?」


「ダマスア王国?」


ダマスア王国。首都:マルクでこの海の東側にある国だ。昔は友好関係を結んでいたが、今はサシル共和国と険悪なムードと聞く。


「ダマスア王国が何のようじゃ?」


チャンドラも”ダマスア王国”と聞いて、警戒をしていた。


「はっ、友好を結びたいと、そうおっしゃられました」


兵士は“ビクビク”しながらも口にした。


「友好かぁ…よし、通せ」

「はっ、あっ…あと、カレー屋さんのことで何か知っている情報があるようで…」


兵士は“言ってはいけないか、どうか”と迷ったので、恐る恐る口にした。


「カレー屋!!本当か!?チャンドラ!俺も出席してもいいよな!?」


ガルシアは食い気味に顔を近づける。


「か、かまわんぞ。旦那にすぐ連絡して来るように言って欲しいのじゃ」


ダマスア王国。

情報は、とんでもない所から入ってくる。何にせよ、今から来るダマスア王国の一行が楽しみで仕方ない。

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