第3章 隣国の王No.1
ドォードォー……。
大きな滝は毎分、数トンの水が飛沫を浴びて落ちていた。そこには男女二人が自然に任せてるように滝の中へ吸い込まれるようであった。
「ザバーーン」
男は「ゲホゲホ」と咳をしながら、河岸についた。どうやら、自然との勝負には勝ったらしい。
男の名は“アゼル”。
アゼルは女が生きしていないことに気づき、慌てて人工呼吸をする。口づけをしながら、胸が広がる所を見て、すぐさま心臓マッサージをする。
ーーー数分後
女は「ゲホゲホ」と息を吹き返す。
「姫様!大丈夫ですか?」
チャンドラは“ボーッ”としていたのだが、すぐに戦闘を思い出す。
「それより、ガルシアは!?ガルシアは大丈夫か!?」
チャンドラは、まるで懇願するかのようにアゼルの両腕を掴んだ。
「痛ててて!」
アゼルは準備していたら耐えられでいたが、あまりにも不意を使ったので思わず叫んでしまった。
「す、すまん。ところでガルシアは…?」
チャンドラは慌てて手を離した。しかし、アゼルには申し訳訳ないが、ガルシアのことが凄く気になる。
「まだ、ハッキリと見ていないのですが激しく戦闘してみたいです。恐らくはもう……」
アゼルは暗い顔をした。それを見たチャンドラは頭が真っ白になり、その場で“ペタッ”と座り込む。
「姫様!気を確かにして下さい!」
“ガルシアが死んだ…”そんなことが起きるなんて考えたくもない。しかし、これが現実だ。
もう、落ち込んではいられない。アゼルは隠しているが腕、全身が青タンだろう。慰める訳にはいかない!
アゼルは慌ててチャンドラを手を差し伸ばしたが、すぐさまチャンドラは手を払いのける。そして“スクッ”と立ち上がり、滝の方へ向けた。
「よい!アゼルの手助けに痛み入る」
チャンドラはアゼルの方に向き合って、まるで戦うかのように決心の目をした。
「アゼル!決めたぞよ!ガルシアの方へ向かう」
「それはいけません!せっかく、犠牲になられたのに、無駄になってしまいます!」
アゼルは慌てて首を振った。
「何を勘違いしておる。ついでにガルシアのことを回収しようと言うことじゃ。あくまで、クーデターの阻止。そのためには、最短でオルールに行くにはどうすれば良いのじゃ?」
アゼルは“ホッ”と胸を撫で下ろした。
“しかし、すぐにパニックになるが切り返しが早い!しかも、冷静で王としての器がある。
こんな女性に惚れ込んでしまったのだ”
一生、告白することはないが改めて心に誓っていた。
「ハッ、ここからは絶壁の滝なので行けません。それを考えた結果、最短で行きますとモスト帝国に行き、ダスク一世と会うのはどうでしょうか?もし、会談に成功すれば増員できるかもしれません」
チャンドラは真剣に話を聞く。
「ダスク一世と会うのか……ここはチャンスだな
。うむ、それで良い」
チャンドラは納得したかのように深くうなづいた。
「さぁ、行くぞよ」
アゼルが先頭にチャンドラは兵が来ないか警戒しつつ、歩いていた。
ーーー夕方
チャンドラとアゼルは暗くなると危ないので野宿の支度をする。
そして、火を熾し、食べるにはまだ早いが野宿のため食事を済ませてから、焚き火の前に座った。
「チャンドラ様、ここは火をつけますので寝てて下さい」
アゼルは優しい顔をした。
「まだ、眠くならないのじゃ。……のう、何か話をしてみい」
チャンドラはまだ眠くなく退屈なので、何かないのかを聞いた。
「そうですね…ここ最近、常に警備をしているので話をすることはないんですよね…あっ、今後の戦略について話をしましょう!」
アゼルは“パッ”明るい顔になった。
「仕方がないなぁ…言ってみい」
アゼルは今の現状、今後の展望などを話した。チャンドラも黙って話を聞く。
どれぐらい話込んでいたのだろう。暗闇は深くなっていた。
「のう…話は変わるが、ザビ家は最初に口づけをした人は結婚する決まりということは知っておるなぁ」
「いえ、知りません」
アゼルは全然しらないが、何故だか“ドキドキ”と鼓動が鳴り響いた。なぜなら、人工呼吸とはいえ口づけをしたのだ。しかも最初に。
「もちろん、初めてじゃ。この話は分かるのう」
「はい」
アゼルはそう言ってチャンドラに近づいて唇を交わった。
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