第2章 砂漠の姫No.2
「ふーーーッ」
砂漠の風が気持ちいい。ここは“ゴビール砂漠”で歩いていると炎天下の中、蒸し風呂状態でフラフラ状態であったが、この巨大な砂船のおかげで快適になった(まぁ、少し揺れるが昔の状態からすれば問題ない)すると、
「おい!大丈夫か!?」「おい!フラフラしてるぞ!」…などと後ろの方では数人が騒いでいた。
“何だか騒がしいなぁ”と思い歩いてみる。
そして、そこにはマッシュが“フラフラ”しながらも立っていた。
「おおー!マッシュじゃねーか!?」
ガルシアは満面の笑みで片手を上げて小走りに走っていた。
“ブンッ”
ガルシアは違和感を感じ、一瞬緩めたが、そこに物体が数センチのところで横切った。
“何が横切ったのかなぁ”と呑気に見たら、マッシュが握り締めた剣だった。
「危ねーじゃねーか!?」
ガルシアは一瞬、怒りで語気を強めたが、それが早とちりだったと後悔した。
「危ない?あぁ、狙ったんだよ!!世間は許しても、テメーだけはゼッテー許さんからな!!」
マッシュは殺気をこめた一撃を繰り出す。
“ドガッ、ガラガラ……”
本来なら剣が傷つくため寸止めのところまでだが、マッシュの剣は思いっきり振り下ろすため木の箱が粉々に砕けた。
「は、話し合おう……話せば分かる!!」
“マッシュの怒りが頂点だ…どうにか、怒りを抑めるためには、どうすれば良いのか?”と思い、ガルシアはマッシュの殺気ある剣を避け続けていた。
「避けんじゃねー!!」
イライラしながらも、マッシュは剣を思いっきり振り下ろす。
ここで補足するがマッシュは決して剣が下手ではない。むしろ“達人”と言ってもおかしくないレベルだ。
「何騒いでおるのじゃ!やかましいぞ!」
“バン!”と2階にあるドアを大きな声が響き渡った。そして一斉に片足を跪く。
「何があったんじゃ?」
「はっこの者が騒ぎ出しまして…」
兵士は“騒ぎ出したのはコイツら”と一斉に指を差した。しかも全員で。
「アゼル!この客人(ガルシア)が助けたのじゃ!暴行、暴言など一切のことを禁止する。もちろん暗殺もダメじゃ」
「はっ」
“チッ!”というマッシュの心の声が聞こえてきそうだった。
“……アゼル?誰だ?”
「ただし、同じことがあれば斬って良いぞ」
「はっ」
「ほれ、握手じゃ」
マッシュは殺気のオーラを醸し出し顔に青筋を立てて笑顔で握手を求めた。ガルシアもそれに応じたが、そこにある疑問を投げかけた。
「王女様の頼みだ。これで許してやるけど、次は許さねーぞ」
マッシュは握手の手を強く握り締めた。
“痛い、痛いって……けど、このことを強く言ったら怒るんだよなぁ”
「ゴメンて……ところでアゼルって誰だ?」
「俺だよ」
「えっなんて?」
「だから、俺だよ!」
「エッーーーー!!!」
ガルシアは一瞬“何を言っているのか?”が分からず思考停止していたが、初めて理解し思わず大きな声で叫んでしまった。
“おいおいシャレにならねーよ。なんか、スパイって事は聞いたけど、まさかサシル共和国だったとは……目と鼻の先じゃねーか?しかもマッシュという名は偽名だし…”
「ところでアゼル!久しぶりじゃのう?」
ガルシアは頭が混乱している状態をよそにチャンドラとアゼルは会話していた。
「はっ久しぶりです。今日から右腕として働かせて頂きます」
「うむ、任せたぞ。ところでガルシアといったかのう?面白い人じゃ。どこで拾った?部下か?部下なら馬車馬のように働いてもらうぞ」
アゼルは少し困った顔をしていた。
「いえ、これは客人です……客人という立場はないですけど」
チャンドラは少し残念そうな顔した。
「それは残念じゃ。けど“一飯千金”という言葉があるからのう。目的はサシルの街だし……よし、やめじゃ!兵士としてビシバシ働いてもらうぞ」
チャンドラは満面の笑みで“ニコッ”と笑った。
「……あの、撤回って、どうにかなりません?」
「あぁ?どうにもならねーよ!大人しく働けよ!」
アゼルは“何言ってんの?”気持ちで怒りを込めて語気を強めた。
そして、ガルシアも“これ以上言うのは得策ではない”と思い黙っていた。
“こんなことになるんだろう?……少し選択を誤っただけじゃないか!!
けど、客人ではなくて兵士として馬車馬のように働く…働きたくないよなぁ”
ガルシアは空を見上げた。
砂漠の炎天下の空。凄く心地よいが馬車馬のように働くのが嫌で嫌で堪らなかった。
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