ネフレと会ってみたら性別違ったしシェアハウスすることになったし偶にデレてくる。
緩音
プロローグ
「ナイスカバー!ルミネ!」
「AYASEもナイス!」
私はヘッドホンのマイクに向かって言う。PCの画面には‘’勝利‘’の二文字が浮かび上がっている。私たちがやっているのは’’ESPELANZA''という名前の5対5の爆弾を設置する側と解除する側に別れて戦うFPS(一人称視点のシューティングゲーム)で、様々な
私のFPS歴は4年くらいでこのゲームは1年前くらい前に始めた。私のゲームIDはAYASEで、私の本名の
それからはたまにランク(マッチに勝つともらえるポイントを集めて他のプレイヤーと順位を競うモード)を一緒にプレイするようになった。
それからいろいろあって私たちはほぼ毎日ゲームを一緒にするようになり、私たちは大分仲良くなった。だけど私には一つ大きな隠し事を彼にしている。それは私がネナベをしていることだ。ネナベは簡単に言うとネカマの逆、すなわち女が男のふりをすることで私はそれをしている。私はボイスチャット、ゲーム内で声で報告するときにボイスチェンジャーを使って声を男性にしている。今のところはばれていないがいつかばれそうでヒヤヒヤする。
昔に地声でゲームをしていたらセクハラめいたことを言われたり、暴言を吐かれたりしたのでそれが嫌でボイチェンを使い始めたのだ。ルミネと出会ってからもボイチェンを使い続けている。ルミネは中性的な声をしているが一人称が‘’俺‘’なので多分男だ。
「なぁ、AYASE?」
「何?」
ゲームのマッチングを待っているとルミネが話しかけてきた。
「俺さ、4月に引っ越しするんだよね。」
「へー。どこに?」
「東京~。」
「え!俺の住んでるとこじゃん。」
「まじで!?俺東京の大学に進学するんだよ。」
「俺たち同じ年齢だったんだ。」
「あ、マッチした。」
マッチングしたのでキャラを
ルミネが静岡に来るのかぁ。会ってみたいけど流石に会えないね。だって流石に1年間嘘をついてるのがばれたら絶対に気まずい。あと普通にネットで出会った異性に会うのは私の倫理観的に無理だし。
「せっかくだしリアルで会ってみる?」
ルミネがゲームが始まる前にそう言ってきた。
「ええっ。」
ルミネの方からそう提案されて手が震える。コミュ障の私にはこの提案を断っていいのかわからない。そう悩んでいたら私の操作しているキャラクターが敵のキャラクターに倒されてしまった。
「あ。」
「はいー。ファーストデッドー。」
すかさずルミネに煽られる。
「うるせー。お前が変なこと言うからだろ。」
「それで。会えそう?」
「いいよ。」
「やったぜ。静岡に行くのが楽しみだわ。」
私はマイクをミュートにしてため息をつく。最悪会ってから考えればいいや。それでゲームを一緒にやれなくなったら残念だけどまぁ嘘をついてた私が悪いし。
「いつ会うかはそのうち連絡するわー。」
「りょーかい。」
そのあとはいつも通りにゲームをプレイして何とか勝利した。なんか敵がいつもより強かった。ランクが上がってきたからだろうか。
「じゃー俺は今日は落ちるわ。」
「おつー。おやすみ。」
「おやすみー。」
ルミネは通話アプリから出て行って私だけがそこに残る。パソコンの時計を見るともう12時を過ぎていた。明日も学校なので私はパソコンをシャットダウンさせてベッドにダイブして眠りに落ちた。
「おはよ~。」
制服を着た私は高校に登校した。睡眠時間が足りなくて少し眠い。自分の席に着いてスマホを触っていると通話アプリに通知がついていることに気が付いた。アプリをタップして確認するとルミネからだった。
『昨日の最後の試合の相手全員ストリーマーだった!』
との文章と一緒に動画が送られてきていた。イヤホンをスマホに着けて再生してみる。Vtuberの
「うわぁ、このAYASEって人強いわ。全然打ち合い勝てない。」
「それなー。私たち順位二桁なんだけどなぁ。」
「この人の順位は.....ってこの人一桁順位じゃん!」
「まじで!?ってかもう一人一桁いるんだけど!」
配信者たちがワイワイ騒いでいる。てゆかこれは最近伸びているVtuberの配信か。ルミネが前に好きだって話していた気がする。
『俺ら一桁だったんだ.....』
『気づいてなかったのかよ!』
最近ランクの順位見てなかったけどそこまで行ってたのか。
『まぁラッキーだったな。じゃあ今から学校だから。』
『俺も。じゃ。』
先生が教室に入ってくる前にスマホの電源を消して鞄にしまっておく。自称進め。鞄のチャックを占めたタイミングで担任の先生がやって来た。
「おはよう。」
「「「おはようございます。」」」
「共通テストが終わって気が抜けてる人がいるがまだ受験は終わってないからな。気を引き締めろよ。」
私は欠伸をしながら先生の話を聞く。私はとっくに大学が決まっているのでもう勉強なんて単語を耳に入れたくない。ということで私は今日のほとんどの授業を睡眠に費やした。
ピコン。
パソコンに着けたイヤホンから通知音がする。
『やるぞー。』
ルミネからそう連絡が来る。私もゲームを起動してから通話に入る。
「よっすー。」
「よー。動画見たか?」
「うん。」
「れむちゃんから褒められたのマジでうれしい!!!!」
「あはは。」
れむというのはあのVtuberの名前だ。
「じゃあ今日もランクやるかぁ。」
「おけー。」
適当にエイム練習をしながら話す。
「それでいつ会える?」
「俺はいつでもいいよ。」
「じゃあ明日!」
「はぁ?」
「Just kidding。」
妙に流暢に言う。
「お前さぁ.......」
「でも俺来週行くんだよね。住むところ見に。」
「あーね。じゃあその時?」
「来週の日曜でいいか?」
「りょーかい。」
「じゃあそこでよろしく。」
それから一週間後、約束の日になった。私は約束したカフェに約束したい時間の1時間前についてコーヒーを飲んでいた。不安で胸がいっぱいになってコーヒーを飲む手が止まらない。さっきから窓の外が気になって視線がそっちに引っ張られる。カフェに入ってくる人についつい目線が逝ってしまう。一応人に会うから美容室に行って来たけどおかしくないかな。ガラスに映った自分の顔を見ながら前髪を少しいじる。ろくな服がなかったからパーカーで来たけど少し後悔している。もっとまともな服で来ればよかったな。落ち着くためにスマホを取り出すと通知が来ていた。スマホがおやすみモードになっていたから気が付かなかった。
『東京に着いたぞ!』
『待ち合わせのカフェの近くの駅に着いた!』
写真と一緒にそうメッセージが送られていた。最後のメッセージが3分前なのであと5分くらいでここに到着するだろう。
『カフェの一番奥の窓側の席にいるから。』
そうメッセージを送信して机にうなだれる。もう取り返せない。
しばらくするとカフェのドアにつけられたベルが鳴った。来たのだろうか。怖くて顔をあげることができない。
足音がどんどん近づいてきて私がいるテーブルの前で止まった。
「AYASEさん?」
ボイスチャットで聞いたままの声がした。
「はい.....AYASEです....」
私が顔を上げるとそこには金髪のワンピースを着た美少女がいた。
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