奇譚0022 男女の会話

 夜眠っている時に外で話し声がする。大学生とかくらいの男女二人で話している。俺の家はアパートの一階で目の前に桜の木とその下にベンチがある。男女二人はいつもそこに座って話していた。騒ぐような感じでもなくただ取り留めのない話をしていて聴き心地がいいラジオみたいだった。大体それを聴きながらいつの間にか眠っていた。それから毎週金曜日は話し声が聞こえていた。聞いていると男の子の方は女の子に気があるようだが女の子はそうでもない感じがわかってなんか青春だなぁと思いながらぐっすり眠れた。

 金曜日に飲み会があり遅くに帰宅するといつも男女二人が座っているであろうベンチに老人が座っていた。男女の姿はなかった。今夜は二人の話が聴けないようだと思っていると聞き覚えのある声がした。見ると老人が声色を変えて男女二人の会話を一人でしていた。

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