時をかけるアイリス

🌳三杉令

第1話 アイリスモデル 

―― 100年後の未来 某戦闘地域 ――


//SE ジェット機音、電子音


(未来の空中戦の機内 アンドロイドの女性が男性を実戦で指導中)


「ねえ、ちゃんと聞いてました? もうすぐ戦闘区域です」


 そう言われてもなあ。少し前まで100年前の日本にいた平凡な男なんだが……


「こう見えても私は最新式のアンドロイド、アイリスモデルなんですよ」


 なぜ戦闘補助のアンドロイドが美少女、しかも肌の露出が多いのだろうか……


「もう一度言いますね、私の体に点や線があるでしょう。それを触ってスマホの様に操作するんです! 聞いてました?」


「点は軽く押す感じ。線はその線に沿って優しくスクロールして」


「他にもタップしたり、指を握ったりする操作がありますからね」


 何その操作……💦


「わかりました? いいですか? じゃああなたの所に座りますね」


(男の膝に半袖/短パン姿のアイリスが座る)

「なるべく密着して。恥ずかしがらなくていいから!」


「シートベルトは二人一緒に付け直して」


「はい、じゃあこの体勢で制御してね。細かい操作は都度教えるから」


「まず、速度の制御は私の脚に青い線があるでしょ、それを前にスクロールすれば高速、手前なら減速よ」


「ちょっとやってみてください」


(太ももの青い線をなぞる)

「う~ん、遅いですね。もう少しさっと動かしてもいいですよ」


「次操縦かんは私の腕です。右腕に触れて青い線をなぞれば右に展開、左腕で同じようにやれば左に旋回します。上昇したいときは腕自体を上げてください」


「そう、そんな感じ。大体いいですよ」


「レーザー銃はおでこをタップします。方向に注意してください。照準は前のモニターに出ますから。照準を合わせるには私の指を握って細かく調整してください」


「やってみてください」


「タップはもっとリズミカルに。右手で私の指を握って動かすんです。照準を合わせたら左手でタップ」


 何て面倒くさい操作なんだ……


「少し難しいけど、早く慣れてくださいね」


「ねえ、今、私の髪の匂いを嗅いでいませんか? そんな事をしている暇はないですからね! もうすぐ戦闘区域に入りますから」


「それから私の体は感度が最高にできていますから変な操作はしないでください。二人の命がかかっているんですからね」


 でも、あきらかに誘っているデザインだよな……


「さあ、オートパイロットをそろそろ解除します。準備はよろしいですか?」


「本物のアイリスさんに会いたいんですよね。これを乗り切りましょう。女神と約束しましたよね?」


「さあ、戦ういますよ。え、私が重いって? 女性に失礼ですね。私はアンドロイドと言えども心は人間と同じですよ」


「ほら加速してください! 敵機が追ってきました。脚の線をなぞって!」


「あ、場所が違うって!もう少し下よ。そうそこを前方向に優しく触って動かす、早く!」


 ……いや、ちょっとその表現💦


「左に旋回! 左の腕よ。そうそう、上手です」


「今度は敵機の上に回り込みますよ、私の両腕を上げてください」


「いや、わきの下はだめです。くすぐったいですから。二の腕を持ってください!」


「そう。 う~ 旋回Gがきついです~、あなたは大丈夫ですか?」


 吐きそうだ~


「よし、回り込みました。レーザーで銃撃してください、照準を合わせて」


「おでこだってば! タンタンタンって指でタップして。レーザーが断続的に出ますから」


「痛っ、そこは目です~ もう少し上ですよ」


 わからんて。繰り返すが何て面倒な操作方法なんだよ……


「そうそう」


(爆発音)

「よし一機やっつけましたね。次行きますよ」


「ここを乗り切ればエーデルワイスに行ってアイリスと暮らせますからね。がんばってください!!」 

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