第33話 アマラ深界(第2カルパ・その1)

 ターミナルでギンザに来ると、フトミミが語っていた通りに

 男…ヒジリがいた。


ヒジリ

「…おお、隼人じゃないか。

 無事だったようだな。

 …それにしても、よく俺がここにいるって分かったな。

 しかし、氷川は恐ろしいヤツだな。

 本当にマントラ軍を滅ぼしちまいやがった。

 ナイトメア・システムか…

 えらい仕掛けを隠してたもんだ。

 だが、俺は諦めちゃいねぇよ。

 ヤツが動けば、それだけ分かることもある。

 ナイトメア・システムの拠点はどこか。

 システムを動かしているらしい巫女とは何者か…

 …しかし如何せん、

 このターミナルはニヒロの支配下にあってな。

 肝心なところで調べがつかんよ。

 どうにも、やつらの監視がゆるい

 ターミナルを見つける必要がある…

 何でも今まで寂れてたアサクサの街が、

 マントラ崩壊で解放されたマネカタの手で復興されてるらしい。

 そこなら、ニヒロの支配の甘いターミナルがあるんじゃないか

 と思うんだ。

 マントラ崩壊で、アサクサへの道も通ったらしいが、

 そんなとこ歩いて行くなんて、危険過ぎて俺には無理だね。

 ここのターミナルからアタックしてはみるが…

 …そうか、おまえがいたなぁ。

 どうだ? おまえアサクサに行く気はないか?

 もし、おまえがアサクサに着いて連絡をくれれば、

 俺もアサクサに行ける。

 おまえの力なら、アサクサまで行けるだろうし…いいだろ?」


隼人

「はい。」


 さすがにここは『はい』の一択だろう。

 解放されたマネカタに関わった以上、その後は気になって当然だ。


ヒジリ

「良かった。

 これでなんとかなりそうだ。

 まあ、ニヒロでも、巫女でも、

 アサクサで分かったことは教えるから持ちつ持たれつでいこうぜ。

 よし、おまえのサクサ到着待ち、てことでいいな。

 東イケブクロにアサクサへ通じる坑道の入り口があるらしいから、

 その辺を当たってみてくれ。

 俺も努力は続けるが、おまえの方が期待が持てそうだ。

 よろしく頼むぜ。」


 すまんな、ヒジリ君。

 その前にどうしてもアマラ深界に立ち寄りたいんだよ。

 隼人のレベルがちょうど42になったからね。

 今後の展開を見据えて、今から下準備したいんだ。


 というわけで、ターミナルでアマラ深界へ。

 第1カルパに到着したら、真っすぐ進んで梯子を下り、B1Fへ。

 途中、十字路の左右を見ると、双方の宝物庫の様子が分かる。

 西側の宝物庫は鍵が無くて入れなかった方だ。

 とりあえずは直進して、梯子でB2Fへ。

 その先には覗き穴があった。

 覗き穴の奥から不思議な気配を感じる。

 覗いてみた。

 拍手と共に緞帳が上がり、車椅子の老人と喪服の淑女が現れる。


喪服の淑女

「アマラ深界を潜り抜け、メノラーを配する事が出来たようですね。

 あなたならこの先、他のメノラーも取り戻せる事でしょう。

 けれど気を付けなさい。

 メノラーを奪った魔人たちは、悪魔の中でも一際、強い力を持つ

 異能の者たちなのですから。

 そんな魔人たちがメノラーを奪い去ったきっかけも…

 思えば、元の世界で一人の男が関わった東京受胎にあるのかも

 しれません。

 東京受胎…

 これによりボルテクス界は生まれました。

 その世界を照らす力の源、カグツチ。

 かつて人の身であった貴方は、

 何も知らずにこの世界を彷徨っているのでしょう。

 では、メノラーを配して頂いた礼に…

 ボルテクスとカグツチについて、少しばかりお教えいたしましょう。

 カグツチ…これは創世を成す為の光です。

 創世とは即ち、今までの世界の滅びと引き換えに、

 新たな世界を誕生させる事です。

 その新たな世界の行く末を、カグツチはその時々で選んだ生命体に

 決めさせるのです。

 トウキョウにも、カグツチに選ばれ創世を成さんとする者が

 幾人か存在している事でしょう。

 カグツチに選ばれた者が誰で、どのような意思を持っているか…

 それにより産まれてくる世界の姿かたちが決定されるのです。

 そして…この広大なるアマラ宇宙の中、その創世が為されているのは、

 このボルテクスだけではないのです。

 あらゆる場所で、カグツチは生まれ…育ち…そして滅んでいくのです。

 貴方の知らない何処かで、

 また幾万、幾億という世界が生まれ変わっている事でしょう。

 それが…大いなる意思のもとに定められたアマラの摂理なのです。

 我が主と共に…いくつもの世界の興りを…そこにある生命の営みを…

 そして最後の滅びの姿を見つめてきました。

 何のために世界は生まれ変わるのか、という解き得ぬ命題と共に…

 今…

 まさに、その答えを見つけようとしているのかもしれません。

 あなたの行動が…その機縁とばるでしょう。

 一刻も早く残りのメノラーを取り戻し…

 我が主の下に来てください。

 我が主はあなたに期待しておられます。

 堕ちた天使に授けられたその力…

 無にはせず…

 命も奪われぬようお気を付けを。」


 拍手と共に緞帳が下りた。

 そして奥の扉が開く。

 奥の穴に飛び込み、第2カルパへ。

 到着して少し歩くと、どこからともなく声が聞こえる…


気高き声

「…おまえが、堕天使の意を受け、混沌の企みに手を貸している魔人か。

 …おまえは知っているのか?

 自分の行動が、自身をどの様な道へ進ませようとしているのかを…

 我は遥か高みより、おまえの行動を常に見守り続けていた。

 闇に魅入られし者、人修羅(隼人)よ。

 おまえは今、いと高き神の意志に逆らおうとしている。

 悪魔に変わりし肉体に、人の心を持つ者よ。

 残された心まで、暗黒に染まる前に…

 我が声を絶対と信じて、堕ちた天使に協力するのは、止めるのだ!」


隼人

「はい。」


 本気の『はい』ではない。

 この世界で生き残る力を与えてくれたのは、神ではなく金髪の少年。

 今まで何もせず傍観するだけの神の言葉など…

 このボルテクス界では紙屑以下だ。

 衛生病院で助けてくれた祐子先生を助力する。

 それ以外の存在は、以上も以下も無い。

 もし神の力を体よく利用出来るなら、利用させてもらう。

 だから『はい』と答えるだけだ。


気高き声

「…その身に光の加護のあらんことを。

 おまえが協力しないならば、あの者たちの企みも消えるだろう。

 さあ、地上に戻るがよい。

 この地はあまりに混沌の力が強すぎる…

 私は神の代弁者…我と神とは一つなり…」


 …声は聞こえなくなった。

 その気高き声を100%無視して台座に近付く。


 巨大な台座が2つある。

 隼人は、威厳のメノラーと永遠のメノラーを灯した。

 その先の扉が開き、第2カルパを探索出来るようになった。

 下り坂を進んだ先の左手に堕天使フラロウスがいる。


悪魔(堕天使フラロウス)

「さっき、オマエの来た方から…

 …凄い声が聞こえたぜ。

 まるで、大いなる意思そのもののような…

 オマエ、近くにいて大丈夫だったか?」


 随分と心配してくれる堕天使がいたものだ。

 戦闘オンリーなアマラ深界では稀な存在だぞ。

 穴に飛び込んだ先には、すぐ思念体がいる。


思念体

「アマラ深界には、様々な思念が多く集まっておる。

 この辺りにいるヤツは、ガイアだのメシアだの…

 絶えず言い争ってばかりじゃ。

 まぁ、お主も辺りを歩いてみれば出会えるじゃろう。」


 進んだ先に、すぐその言い争いの一人(思念体)に出会う。

 男は隼人に気付かず話し続けている…


思念体

「聞けよ、民衆たち!

 世界は支配する神に虐げられ、従い、

 そして甘えるうちに自らの力を失った。

 それゆえ今、滅びの道をたどろうとしているのだ。

 しかし案ずる事はない。

 我らガイアの教えは人に強さをもたらし、

 真に生きる術を指し示そう!

 世界を古の強さへと再生させるのは、

 我らガイア教団なのだ!」


 男の演説は続いて(リピートして)いる…


 女神サラスヴァティがLV36に。

 ディスクローズを貰った。


 探索していると他のガイア教団の思念体と出会う。


思念体

「悪魔との共存は望む所。

 我々はその野望を阻止しようとするメシア教徒と対立していた。

 本当の敵は教団内部にいたと気付かずに…な。」


思念体

「我らはただ、

 自然や古代の神々と共に生きる道を探していただけだ。

 それを、妬む神に洗脳されたメシア教徒たちは目の仇にし、

 弾圧してくるんだ。

 …困ったものだ。

 排除すべきはヤツらメシアだぜ。」


 穴に飛び込んで下の階の部屋へ。

 2人目の闇ブローカーがいた。


闇ブローカー

「…オマエ、なかなかの強さだな。

 いいもん売ってやろうか?

 いいもんってのはな…

 あらゆる回復魔法を使い、

 オマエを助けてくれるステキな悪魔だ。

 あのふくよかな胸元につつまれたら、

 誰だって昇天しちまうほど癒されるだろう。

 値はちと張るが、欲しくなるだろ?

 30000マッカだが…買うか?」


隼人

「買わない。」


 胸元だけじゃなく、お腹もふくよかだと思うが…昇天は無いだろ絶対。

 『常世の祈り』は無いけど他のスキルはあるから、買う必要は無いな。


闇ブローカー

「そっか、まぁ欲しくなったらまた来いよ。」


 部屋を出ると思念体がいるので声を掛けてみたら、

 ぼったくりバーと闇医者。

 用は無いので『いいえ』で終わり。

 選択肢で、闇医者は『いいえ』が優先されているが、

 ぼったくりバーは『はい』が優先されている。

 誤って連打しないよう注意が必要だ。


 通路を歩くと情報くれる思念体がいる。


思念体

「この下の階層は、見えない壁で区切られた迷いの空間なんだ。

 下へ向かうつもりなら、せいぜい覚悟していくんだぜ。

 一度降りたら戻るのは大変だからな。」


 南西側の通路奥にある宝箱から封魔の鈴を入手。


 そして東側の穴から飛び下りた。

 迷いの空間は、近付くと壁が見えるので、言うほど迷うわけではない。

 壁伝いに歩けば問題無いので、言われるほどの覚悟は必要無いと思う。

 ちなみにこのB3Fは北側、南側と分断されている。

 B2F東側の穴がB3Fの北側、

 B2F西側の穴がB3Fの南側に通じている。

 扉近くの宝箱からチャクラポットを入手。

 扉の先、通路を南に曲がった行き止まりには、

 道を教えてくれる思念体がいる。


思念体

「ほら、アナタ…そこよ、そこ!

 もー、じれったいわね。

 そこのカベよ、よーく目を凝らして見なさいよ。」


 こんなところにも、お節介なおばちゃん思念体がいた。

 通り抜けられる壁の先には下りる梯子がある。

 下りたところは行き止まりの部屋。

 その奥の宝箱から月輪のカギを入手した。

 これで第1カルパの西の宝物庫に入れるはずだ。

 (まだ行くつもりは無いが。)

 北側の扉から出て、迷いの空間を抜ける。

 北西にある部屋の扉は月輪のカギで開く。

 その部屋の宝箱から、今回の目的である死兆石を入手。

 反対側、北東にある部屋の扉も月輪のカギで開く。

 ここは墓標の間だった。

 右側の墓標には倒したばかりの龍王ミズチ。

 『龍王ミズチの記憶、ここに眠る』…と刻まれている。

 左側はまだ刻まれていなかった。


 死兆石を入手したのですぐに帰る。

 が、その途中、B1Fで宝箱を2つ開ける。

 魔反鏡とくらましの玉を入手。

 1Fまで上がって堕天使フラロウスの顔を見ると、どこか一安心。

 さっさと進んで穴に飛び込んでターミナルまで一直線。

 イケブクロに移動する。


 イケブクロのターミナルを出ると、

 近くにいる妖鬼オニの台詞が変わっていた。


悪魔(妖鬼オニ)

「カブキチョウも陥落したらしい。

 マネカタどもがそう言って出て行ったよ。

 …まあ、オレは好きにやるがな。」


 ここで出現する妖鬼モムノフを誘惑で仲魔にした。

 それから2Dフィールドに出る。

 西イケブクロにある宝箱から宝玉1個入手。

 (すっかり取り忘れていた…)

 ゾウシガヤ霊園の近くにいる思念体の台詞が変わっている。


思念体

「見てみなよ、マントラ軍の本営ビルが、エライことになってる。

 …ニヒロ機構の攻撃に、ボコボコにされてるぞ。」


 そのまま久しぶりにゾウシガヤ霊園へ。

 思念体爺さんの台詞も変わっている。


思念体

「ゴズテンノウがやられたらしいのお。

 ナンマンダヴ…」


 ここで魔獣イヌガミと別れる。

 それからギンザ大地下道ワセダ口から地下へ。

 そして地下の通路で地霊スダマを洗脳で仲魔にした。

 さて、戻って悪魔合体。


☆魔人ヘルズエンジェルLV42=妖鬼モムノフLV20×地霊スダマLV13

 スキル:ヘルスピン/ヘルバーナー/気合い


 死兆石は、その妖しい輝きを失った…


ヘルズエンジェル

「俺は魔人ヘルズエンジェル。

 我が怒りは地獄の祝福なり…」


 取り敢えず、今後に向けての下準備…第一段階が終わった。

 さて、それではアサクサに向かうとしよう。

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