第16話
北海道、小樽市。高台から海を見下ろせる、美しい街の横を走る車内で所長は言った。
「その内、全自動車も空を飛ぶようになる…高台なんて馬鹿ばかしくなるよ」
所長の言葉を顧慮する様子もなく、深町は眉間に皺を寄せていた。
「…そんなに我が身が可愛いですか?所長」
深町の言葉に助手席へ目を向ける所長。
「長年そんな非道な実験を何も知らない子供に繰り返して来たなんて…どれだけの子供を犠牲にしたんですか?」
「…確かに私は自分の死を恐れ子供達を犠牲にしている。だが君は子供達と世界中の人々、天秤に掛けなければならない時が来たらどうする?」
所長の返答に顔を顰めて、運転席へ目を向ける深町。所長は呟いた。
「そういう瀬戸際なんだよ」
車内を流れる静寂の中、車は見晴らしの良い山を抜けて通る、舗装もおぼつかない細い道を走っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます