第21話 我慢はいつまでできるかな

 今日の私のミッションはテンションを上げすぎて倒れないことと、やみのままで配信を終えることだ。

 お酒は飲んでいないし、萌えることがなければ我慢はできるだろう。しかし、先輩たちを前にして私にそれができるのか?

 やってみないと分からない!ということでまずはこの目の前にあるチャイムを押してみる。


「はいはーい。おっ、ようこそ!入って入って〜」

「えっ?あ、お邪魔します」


あれ?聞いていた話と違うような?確か今日はマオ先輩の家でオフコラボなはず……それなのにミツ先輩が出てきた?先に来ていただけかな。

 それにしては家主みたいな感じだったし、家の中をジロジロ見るのは良くないけれど二人分の傘とか、物とかがあるような?


「やみちゃんきたよ〜」

「ようこそ。吾輩とミツの館へ」


椅子に座って足を組み貫禄を醸し出しているマオ先輩がそこにはいる。

 それより……


「ここって二人で住んでるんですか⁈」

「そうだよ〜館じゃないけどね。二人で住んだ方が安いし、色々問題があってさ」

「うむ、まあそういうことだ。カラーズに入りたてのミツの雰囲気は少し危なかったから、これが一番良かったのだよ」


悲しい顔をする二人を見て少しだけ察した。

 この職は理解されることが少ない。きっとミツ先輩もあまり理解されなくて思わず飛び出してきてしまったというところだろう。それなら入ってきた時に雰囲気が危なかったというのも頷ける。私が見ていた配信でそんな雰囲気を一切見せず色気のあるお姉さんキャラをしていたというのはすごいことだと思う。

 私は独断で決めることができたが、天から見てどう思っているかは分からないのだ。

 面白がってくれているといいなとは思わずにはいられないのだけれど。


「ちょっと、その話はしないでって言ったでしょ⁈」

「おや、そうだったかな?魔王様ももう歳でね……」

「もーって、ご、ごめんやみっち!配信の準備しなきゃだよね!」

「いえ、お気になさらず」


 このまま壁になりたい。

 マオミツが目の前でイチャイチャしているということと、一緒に暮らしているという事実に私は混乱しているので先程の話は聞き流すことにしよう。それはそれとして壁になって静かに見守っていたいのだ。

 はっ、やばい!突然の供給に我慢がきかなくなるところだった。

 早速ミッションが達成できなくなったらどうしようと思った……危ない危ない。このままではミッションが達成できなくなってしまう。それならその前に……


「ミツ先輩、マオ先輩、やっぱり今すぐやるのじゃ」

「ああ。やみのスイッチが入ったね。それならすぐに始めた方がいいかな」

「そうだね魔王様!配信部屋へゴー!」


スイッチが途中できれないように今回は気を引き締めていくぞい!

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