第一回さいかわ葉月賞 優秀賞について
第一回さいかわ葉月賞にご参加いただき、誠にありがとうございました。
主題、開催時の宣言通り、「犀川の独断と偏見と気まぐれ」の結果、下記を優秀賞とさせていただきます。(敬称略)
失恋エモーショナル/竹部 月子
さすがと言いますか、そりゃそうだと言いますか、要約すれば「失恋しました」というお話をこれだけ丁寧かつ簡明かつエモく描けるのにはすごいなと思いました。
しかも別れる理由がわざとらしいドラマチックなものではなく、ボタンを掛け違えたような理由を描いていて、ちょっとこれは普通の才能だけでは書ききれないなあと思いました。
別れるために化粧をキメて出陣する女子の気持ちが痛いほど伝わってくるのもせつないですね。女子であれば誰もが通るような痛みという経験を目の前にして、彼女たちの終末をただ眺めていなければならない悲しみを感じました。
振られた後の部屋での泣き叫び、わかります。わたしも(皆さんからどう見られているのかわかりませんが)結構フられてきたので、その度にじたばたして変えようのない現実に抗おうとしていました。いや、こんなときはみんなそうですよね笑。
失恋というテーマに対して、経緯と心情とラストへのバランスがとても適正かつ的確です。作品全体を通して過激な表現や内容を含んではいないのに、読み応えはとてもあり、読者の気持ちを上手にゆさぶってきます。目の腫れ、こうなりますよね。
あと、さいかわ賞の作品って意外に女性の化粧服装関係の描写が少ないのですが、本作はそのあたりにスポットを当てているのも女子作家らしくてわたしは好きです。わたしもあまり化粧とか服とかを書かないので、ペディキュアとか、「あー若い子だからしてるよね」なんて思いながら読んでました。いや、若くなくてもしますけど。(一応フォロー)
さいかわ賞にはあまりなかった作風を吹き込んでくれたのも素晴らしいです。その栄誉を称え、ここに優秀賞を授与いたします。
おめでとうございます。(犀川 よう)
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