ハローサマーグッドバイ

菜月 夕

第1話

 あの夏休み、久しぶりに田舎の祖母の所に行った僕はあの人に出逢った。


 田舎なので何も無い。その暇を持て余してそこらをふらついているうちにその花畑に行き着いた。そしてその花園の中に立ってるあの人に。

 思わず見とれていた僕に驚いた様に君は気づいて、僕を見て手を差し伸べる途中で消えていった。

 帰って祖母に女の人の事を聞くとそんな話しは聞いた事がないと言った。

 想えば思うほどあれがなんだったのか、あの素敵な人への想いが募っていった。

 それから数年、とある研究所に勤務していた僕は初めての時間旅行の試運転に志願した。

 これであの時に行ける。あの人の事を忘れられず独身のままの僕はその帰れないかも知れない旅に飛び立った。


 そして私はあの人に逢う為にこの場所に降り立った。

 まだ彼は現れない。ふと後ろから視線を感じるとそこには彼の面影を宿した少年が。

 手を差し伸べるも、私は元の世界へ戻された。いや、違う。戻った私を見て研究所はパニック。

 出発したのは男の私で帰ったのは女の私。どうもあのタイムトラベルで私が女だった世界と男だったIFの平行世界がクロスして入れ替わったらしい。

 遺伝子調査でもXとYの遺伝子が違う位の差が無いことも調べられた。

 あの時出逢ったあの人の面影が残るこの世界。でもまたタイムトラベルしてもどこかの平行世界とクロスしてしまうかも知れない。

 私はあの人の面影を探しながらこの世界にとどまるしかなかった。

 そしていつもあの人を探してしまう、研究所に貼られたあの人の写真。

 いつもと変わらない家に帰ると、いつもの部屋はあの人の匂いが残る部屋だった。

 あの人が恋しい。私は胸を焦がしながらこの世界に残された。


-あんまりな後日談


 家族にも事情が説明され、私は父や母に迎えられた。

 父が「ホントは女の子が欲しかったんだぁ」と抱きつこうとするのでグーパンで殴りつけた。何故か嬉しそうだった。

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ハローサマーグッドバイ 菜月 夕 @kaicho_oba

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