第93話 新たなるモンスターは強すぎる!

 襲い来るモンスターの姿を視認できた。

 できたけど……


 「あれって!」

 「獣人型のモンスター!?」

 「それも相当な強さのようだな。」

 「お前ら感心してる場合かよ、まったく。行くぞ。」


 まだはっきりとその姿が確認できない程の距離だけど、この時点で感じる圧はこれまでとは比較にならない程だ。

 とはいえ、これほどまでの気を放つモンスターって、外には出ていないみたいだ。

 もしかすると、やはりここにコアがあってそれを守っている?

 ともかく、襲い来るモンスターはここで片づけなくちゃいけない。


 はっきりと認識できる距離まで詰まった。

 モンスターは人型をしているんだけど、その大きさは2メートルくらいだ。

 見るからに大きく強そうな個体が4体。

 よく見ると4体は同じじゃない、4体全てその容姿は違っている。

 そして、それらは理性を持っていないみたいで有無を言わさず襲ってくる。

 というか、このモンスターって……


 「ルナ様、これ微妙にモンスターと違う気がしませんか?」

 「ああ、モンスターというより、アーマーのような感じがする、のだが……」


 もはやどっちともつかない感じというのは初めてだ。

 ただ、モンスターにしては異形だし、アーマーにしては機械っぽさがない。

 ともあれ襲ってくるなら相手するまでだ。

 その4体のモンスターに対峙し


 「左翼からいくぞ!」

 「「 はい! 」」 

 

 私とシャルルは覚醒状態へと移行して突進する。

 ウリエル様がワールドへと飛び込み、力が増幅した。

 ルナ様も相手が相手だからか、バックアップではなく先鋒で吶喊する。


 「ふんッ!」


 ヴァイパーを先頭のモンスターへと放つ。

 が


 「え?」

 

 モンスターは何処からともなく棒みたいなものを出してヴァイパーを受け止めようとした。

 人型だからなんだろうか、そうした武器も扱えるんだろうけど、さっきまで素手だったような気がするんだけど。

 とはいえ、ヴァイパーを受け止められるはずもなく、その棒のようなものもまとめて薙ぎ払い、すぐさま魔法を放とうとした。

 したんだけど……


 「踏み込みが甘かった!?」

 《ディーナ迷うな!続けて攻撃するんだ!》

 「はい!」


 ルナ様はシャルルともう一体の相手をしている。

 そっちも同じみたいで攻撃がなかなか有効打にならないみたいだ。

 ただでさえ強固な体躯に動きも速く、かつ武器を使ってくる。

 知能も思った以上にあるらしく、2体が連携し4体がさらに連携している。

 とてもモンスターを相手にしているとは思えないみたいだ。

 

 覚醒状態の私とシャルルを相手にして、まだ健在だ。

 もはやこれまでのモンスターとは格が違う。


 一旦離れて構えなおす。


 「ルナ様、これって本当にモンスター?」

 「明らかにこれまでとは違うな。動きもそうだが何より固い。」

 「固いというか、一撃も入れられないよぅ。」

 《少し厄介だな。とはいえ勝てない相手じゃない。冷静にな。》


 相手は2体1組で攻撃してくる。

 しかも何処からともなく手にした武器はいくつも出せるみたいだ。

 何より動きが機敏で2体が完全に連携しているから攻撃も迷ってしまう。


 「よっと。ならこっちもペアで当たるしかねぇな。」

 「ウリエル様。」

 「アタイとディーナ、ルナとシャルルだ。」

 「ああ、相手の攻撃はたいして脅威じゃない。冷静に一体ずつ片づけるぞ。」

 「「 はい! 」」


 仕切りなおして再びモンスターへと襲い掛かる。

 やはり動きは速く、こちらの攻撃を避けようとする、けど。

 2体が連携して惑わす動きをしていたので攻撃が浅かったけど、それさえ判れば迷いは無くなる。

 確実に一体に対して攻撃をかますんだ。


 「せいッ!!」


 棍棒みたいなものを持つ腕に切り込む。

 やはり堅そうだけど、ヴァイパーなら問題ない。

 光と火の魔力を最大限に纏わせた斬撃は、斬った傍から切り離した腕を消滅させ、身体側は切り口から崩壊を始めた。

 そこで止まらずに、ウリエル様がもう一体の攻撃をガードする中今度は体を真横に薙ぎ払う。

 ようやく1体を屠った所で、すぐさまもう1体に斬りこんでいく。



 冷静になれた事で、難なく4体のモンスターは撃破できた。

 そうして一息ついていたところに……


 「ま、また来る!」

 「えー!?」

 「こりゃ少し難儀だな。」

 「とはいえ、やるしかあるまい。行けるか?」

 「「 はい! 」」

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