第46話 船破損!そして私達はリゾートへ!
船は近くにあった無人島へと接岸した。
とはいえ、水深が必要なので岸辺からは100メートル程沖合だ。
ここで船の修理を行うみたいなんだけど、希望者はあの島への上陸が許可された。
というか、本当は乗客全員を船から退去させたいみたいだけど、無人島なので何があるか解らないからか、そういう配慮になったみたい。
せっかくなので私達も島へと行く事にした。
船長さんは
「修理は3日で完了させます、しばらくの間ご不便をおかけします。」
と言っていた。
という事は、島で2泊キャンプだね。
救護船で島へ運ばれて浜辺に降り立った。
私達以外では、およそ30人くらいが同じく島に来たみたいだ。
とても気温も高く、南国って感じ。
青い空、白い雲、エメラルドグリーンの海、そして白い砂浜。
とってもいい雰囲気だ。
ちょっとした海水浴気分だよね、これ。
泳げないけど。
「じゃあ、だ。泳ぐ訓練でもするかお前ら?」
「あ、それは良いですね。教えてくれますか?」
「あ、ああ、いや、それはたぶんルナが教えるんじゃないかなー……」
「いや、私は泳げないぞ?」
「「 え゛? 」」
「あー、いや、あのな、アタイら泳ぐって事がないから……」
「うむ、必要がない事はしないんだよ。」
「……」
え、えーっと。
確かルナ様とウリエル様って、コアの封印の時はお父様と一緒に海底まで行ったのよね?
どうやって?
「あの時はだな、アイツの魔法で地上と同じように動けたんだよ。」
「なので、泳ぐ、という行為は不要だったんだ。」
「「 そ、そうだったんですか…… 」」
「だがしかし!」
「はい?」
「こんなこともあろうかと、訓練の為の装備は持ってきているぞ!」
「装備って?」
「これだ!」
ルナ様はどこから出したのか分からないけど、何か布切れを取り出した。
「実を言うとだな、フランが持っていけと私にくれたのだ。」
「これって、まさか……」
「うん、水着ってやつだな。4着ってことはアタイの分まで、か?」
「そうだ。サイズはそれぞれに合わせてあると言っていた。あやつも鋭い洞察眼だな。」
「……」
という事で。
まずは拠点を確保した後に、水着に着替えた。
着替えたんだけど……
「あの、ルナ様、なぜ女性の体に?」
「いや、せっかくフランが用意してくれたんだしな、水着に合わせた。」
「……」
もう、なんというか、これは事件だ。
とてもじゃないけど人間の目に触れさせられない。
というか、フランお母様はルナ様のどこを見てサイズを見極めたんだろう?
どう見ても普段のルナ様のスリーサイズじゃないんだけど!
ともかく、そのナイスバディは羨ましい……
「お!お前らも似合ってるな、カワイイぞ!」
「!! ウリエル様!?」
ウリエル様まで!
こ、こっちもウラヤマケシカランボディの水着姿だった……
拠点は他の人達とは大きく離れた場所にしたんだ。
理由は言わずもがな、よね。
魅了の力に加えて水着姿になったルナ様やウリエル様を見た日には、違う意味でパニックになる。
せっかくなので4人そろって水泳の訓練をする事になった。
まずは私とウリエル様のバディ、シャルルとルナ様のバディで、バタ足から始めた。
2時間程して一旦休憩となった。
何より、喉も乾いたしお腹もすいた。
そういえば、飲み水は少ししか持ってきてない。
さて、どうするかな。
幸いにもこの島には果実があるし、奥の方には沢というか小川もあるみたいだ。
食料も、野生動物もいるようだし問題ない、かな。
他の上陸者たちはきちんと準備しているみたいなので大丈夫だろう。
「てことで、狩りに行きましょう。」
「あ、行く行く!」
「狩り?」
「はい。2泊とはいえお腹は空きますし、体力も維持しないといけませんので。」
「そう、だな。なら私も付き合うか、お前は……留守番だな。」
「あー、アタイはここで日光浴でもしてるさ。行ってこい。」
「あはは、じゃあ、行ってきます。」
狩りがてら島の探索をする。
小さな島だけど、あちこちに古代文明の跡みたい物があったりして面白い。
害獣を2匹程仕留め、沢でさばいて下処理をしている最中に猛毒のヘビに噛まれたのでそのヘビも捕まえた。
私達に毒は効かないんだ、ゴメンね。
香辛料とかはそんなに無いけど、塩が取れるので問題ないかな。
調理器具はあのバッグの中に一通りあるしね。
意外と美味しかった害獣を平らげ、少し休憩する。
こんなに強い日差しは久しぶりなので、せっかくなので私達も日光浴しつつお昼寝した。
日焼けとかはあまりしないんだけど、ちょっと位は日に焼けて健康的になりたいよね。
ひとしきり昼寝を堪能した後は、再び水泳の訓練だ。
結局“平泳ぎ”っていうフロッグみたいな泳ぎ方が一番楽で簡単だと気付いた。
これでもう、泳げるって言いきっていいんだよね、たぶん。
そんな一日を終え、陽も暮れて満天の星空の下で寛いでいた。
その時だった。
あのメロディーが聞こえてきた。
「ねえ、ディーナ、これって」
「うん、人魚族、だよね。」
「ちょっと、行ってみようか?」
「そうだね、もしかするとネモフィラ母様かも知れないし。」
「あー、あんまり沖合まで行かないようにな。」
「一応警戒はしておくことだ。」
「はい、じゃ、ちょっと行ってきます。」
唄声は浜辺から少し離れた岩場から聞こえてきた。
そこへ向かうと、やはり人魚が数人岩場で唄っていた。
「あれ?眠ってない人間がいる!」
「えー、私達の唄を聴いて眠らないなんて!」
人魚達は私とシャルルを見てそんな驚きの声を上げた。
「あ、あの、あなた達は人魚族、ですよね?」
「私達はその、唄は効かないんです。」
「え?じゃあ、あなた達は魔族?」
「私は魔族と人間のハーフ、この子は龍族と人間のハーフです。」
「魔族に、龍族ですって!?」
「それに、人間とのハーフ!?」
「はい。」
「魔族はわかるけど、龍族にも人間との相の子が存在するの?」
「あの、その事も含めてお話したいんですけど、お話、しませんか?」
人魚達はこちらの素性を明かした事で、話しをしてくれた。
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