第3話 久しぶりに家族みんなで騒いだんだ
「「ただいまー!」」
「お帰りなさい、元気そうで何よりね。」
「サクラお母様、ただいま。お母様も元気そうで良かった。」
「サクラお母様だけなの?」
「いいえ、みんな別邸にいますよ。アルチナ様もシャヴィ様も。」
「あ、じゃあ荷物置いたらそっちに行こうか、シャルル。」
「そうだね、その後温泉入ろ、おんせん!」
「うふふ、やっぱり温泉が恋しいのですか?」
「うん、家族と同じ位、ここの温泉が恋しいよね!」
「ま、シャルルはお風呂好きだもんねぇ。」
「ディーネだって好きでしょ?」
「まあね。」
私の自室は、ここを出た時そのままになっている。
時折メイドさん達が掃除してくれているのでキレイなままだ。
自室はシャルルとローズお母様の次女、ギニーとの相部屋だった。
当時はケンカもしたけど、3人で楽しく過ごしていたなぁ。
ギニーは今、ネリス公国にある学習院で教授をしているんだって。
専攻は特になく、あらゆる分野で秀才ぶりを発揮しているみたい。
ギニーはお父様からあれこれ教わったりしていたから、いろんな事に興味を持ち、それを探求していたな。
荷物を部屋に置いて、領主邸の裏にある別邸へと向かう。
この別邸は家族での色々な行事に使う為にお父様が建てたもの。
時には2階にある広間でお父様を講師に勉強会とかもしていたなぁ。
もっとも、勉強会という名のお遊び会だったけどね。
別邸の大広間には、皆が集まっていた。
ヒバリお姉さまにローズお母様とスペリアお姉さまにギニー。
リサお母様とハーグお兄様。
カスミお母様とマスミお姉さま。
ピコお母様とメグ。
サダコお母様と結花お姉さま。
雪子お母様とネージュ。
フランお母様とヘレン。
ネモフィラお母様とコキアとアドニス。
ピラトゥスお母様とティアマト。
シャルルのお母様のシャヴォンヌお母様。
私のお母様。
そして、ウリエル様。
こうしてみると、本当に大家族だね。
「みんな!ただいまー!」
「ただいまー!久しぶりだねー!」
「ディーナ、シャルル、お帰りなさい。」
みんながそう返してくれる。
一年ぶりの再会だもんね。
みんな粗方準備は済んだらしく、ここで寛いでいたみたい。
シャルルはシャヴォンヌお母様とピラトゥスお母様と話に花を咲かせ始めた。
シャルルって実は、未だにホームシックになる事があるんだって。
まぁ、私もシャルルの事は言えないけどね。
「どう、元気に過ごしていますか、ディーナ?」
「お母様、お母様も元気そうで安心したよ。」
「うふふ、貴女に会うと、私も元気を分けてもらっているようですわね。」
「もう、何言ってるのよ。私より元気みたいに見えるよ?」
「うふふ、そうかも知れませんわね。さ、ゆっくりしてなさいな、準備とかはもう済んでますからね。」
「ありがとう、お母様。」
という事で、兄弟姉妹全員で温泉に浸かりに行く。
みんな、私達が帰ってくるのを待っていたんだって。
「さて、お前ら二人の成長具合は確認しないとなー、ぐへへ。」
「ウリエル様?なにやら言動がオッサンになってますけど?」
「何を言う、これはタカヒロの真似だぜ?」
「あの、だいぶ誇張されてません?」
「まー、そうかもな。でも、そんなかわんねぇだろ?実際。」
「ふふふ、確かに。」
ウリエル様は、私達にはこうしてふざけた態度で接してくることが多くなった。
きっかけはお父様が亡くなった事みたい。
悲しみに暮れる私達を、元気づけようとお道化て見せたってカスミお母様は言ってたな。
「あー、やっぱり家のお風呂は最高よねー!」
「今では混浴できるのって、ここだけなんだってさ。」
「へー、なんでだろうね?」
「いろいろ事情があるんじゃないのかなぁ、きっと。」
「ま、私達には関係ない話かな、うん。」
「そうよねー、どっちにしても異性と混浴はできないもんね。」
「何だかんだ言って、結局全員“魅了”の力を持っちゃったもんねー」
「あー、俺たちは異性じゃないのか?」
「兄さま達は異性じゃないもん。」
「えー?じゃあ、何だよ?」
「家族、でしょ?何言ってんの?」
「あはは、一本取られたな!」
「……バカじゃん?」
「んなにをー!」
こうして、兄弟姉妹が全員集まると大騒ぎになっていく。
これも一つの恒例行事みたいなものかな。
みんな久しぶりに会えて嬉しいんだもんね。
幾つになっても、私の家族は変わらないかもしれないわね。
お風呂から上がっても、ワイワイと賑やかさは続いている。
夕飯の時間になり全員で食事となったけど、やっぱり宴会となってしまった。
普段、全員は食事マナーなんかにうるさいんだけど、この時ばかりは普通に飲んで騒ぐ。
厳しいお母様たちも一緒になって。
いつの間にか、ルナ様も混ざっていた。
サダコお母様と雪子お母様と何やら話し込んだ後、大騒ぎに混ざっていたみたい。
ルナ様は時々、気配を消したままにしちゃうクセがあるんだって。
それでも気配を完全に消したルナ様を認識できるのは、サダコお母様と雪子お母様、ウリエル様、そして、お父様だけだったとか。
「ねぇディーナ、良い人は見つかったの?」
「マスミお姉さま、その話はちょっと……」
「ディーナはねー、全然そういうのダメみたいよ?」
「シャルル、それは貴女も同じでしょ?」
「でも、そういうマスミお姉さまはどうなのですか?」
「んふふー、私はねー。」
「私は?」
「全然ダメだよ!」
「……一緒じゃん。」
「ああ、あんた達面白い話してんじゃん。」
「結花お姉さま、お姉さまはどうなの?」
「それ、私に聞くー?」
「あははは、みんな一緒だねー!」
「なかなかねーパパを超える人って見つかんないよねー」
こうして、お父様の命日前夜は大騒ぎになるのだった。
お父様もこういうの、好きだったものね。
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