第188話 暗黒街?
路地裏の奥へ進むと高層ビルに囲まれて少し広くなってる場所に到着。
空間感知、魔力感知、気配察知で周囲を探るがこちらを監視してる者は居ない。
それでも……。
「暗黒街の人~、ちょっと話があるんで出て来てもらって良いですか~」
………………。
…………。
……うむ、返事も無ければまったく動きも無い。
本当に街中を監視してるのか?
「出て来ないなら国を潰しますよ~」
しかし、誰も現れない。
声を掛ければ出て来ると思ったんだけどなぁ。
他に会う方法は……あっ、名前を騙れば俺を殺しに来るかも?
ならばと魏王一家のアジトに影渡りで分身を送り、帰って来た者が片付けたのか殆ど死体が片付けられていたが、残ってる死体を1体影に沈めて持ってくる。
服を脱がせてロープ……が無いので物質生成でロープを作り、死体をグルグル巻きにしてから式紙を作る要領でメモを創って張り付けると収納。
物質生成でロープぐらいは創れるようになったようだ。
魔力とマナもそれ程減ってない。
用意が出来たので人通りが多い通りへ向かうと、商店街のようなアーチ状の看板があったので隠密を発動させたまま跳び乗り、死体にも隠密を発動させたまま看板に吊るす。
結構人通りが多いのに、誰一人死体に気付かないのは、物凄い違和感。
隠密スゲーな。
吊るし終わったので横の建物へ跳んで壁に張り付き、更に跳んで反対側の屋上へ昇ると死体の隠密を解除。
その瞬間。
「キャアーーー!!!」
「うわ!?」
「死体が吊るされてるぞ!?」
「おい誰か、警察呼べ!!」
「首が無い」
「身体に何か紙が貼ってある!」
「迷い込んだ者は、闇に飲み込まれる。暗黒街だ!!」
「馬鹿な奴が暗黒街に手を出したんだろ」
「自業自得だな」
「警察は呼んだか?」
「暗黒街が相手なら警察も、何も出来ないな」
最初は混乱していたが、暗黒街の仕業と分かった途端に騒ぎが落ち着き出す。
この街じゃ暗黒街に手を出した者は、生き残れないと周知の事実らしい。
ボーっと屋上の縁に座って眺めてると数分程で警察がやって来て道路を封鎖、死体を下ろしてシートに包んで運んで行く中、野次馬に聞き込みをする警察を眺めていると、背後に気配が現れたのを感知し、振り向くと5メートル程離れた場所に、特殊部隊が着るような黒い服にズボンとブーツを履き、顔を覆うマスクをしており目はカメラレンズのようになっている者が立っていた。
「やっと姿を現したか」
と言いながら立ち上がり、柵を跳び越えて屋上の中へ入る。
「暗黒街の者だろ? 近くで見てたのか?」
周囲の建物を見て奴に視線を戻すといつの間にか奴の両サイドに、2人ずつ同じ格好をした者が姿を現していた。
一瞬分身かと思ったが、背丈や体格が違うので別人だと即判明。
音もなく気配も無く姿を現すとは、かなりのやり手だな。
全員手をだらんとさせて前屈みで突っ立ってるだけだが、まったく隙が無い。
「もしかして喋れないとか?」
看破で視ると職業が忍者で、それ以外は表示されなかった。
忍者である事は確定。
ただ暗黒街の者なのかは、まだ不明。
まあ、暗黒街の忍者部隊ってところか。
「あのメモを見たんだろ? だからここに来た」
『迷い込んだ者は、闇に飲み込まれる』と書いてあるが右下の端に小さく『話がしたいので近くの屋上で待つ』と書いたのだ。
なのに何も答えないとはどういう事でしょう?
もしかして人形?
でも、人の魔力は持ってるようだが。
「お前らのトップはどこに居る? 何も答えないならこの国を潰すぞ?」
すると真ん中の男が答える。
「お前は死ぬ」
「俺が? でも全然動かないね? さっさと掛かって来いよ。痛めつけた後、じっくり拷問して情報を聞き出すから」
「何も分かってないな」
「何が?」
「お前は既に街に飲み込まれてる」
「暗黒街にって意味か? まったく意味が分からん。素直にトップの居場所を言えば、苦しまずに死ねるぞ?」
そこで数秒間を空けて真ん中の奴が言う。
「……ククク、準備は整った。死ね」
何もしてな……っ!?
次の瞬間、全方位から殺気が迫って来たのですぐさま上に跳んで避けると、前に居た奴らとは別の忍者部隊6名が、俺の居た場所でぶつかると思いきや一人が他の者の腕を掴み、俺に向かって投げ、忍者が次々と迫って来た。
奴らは短剣を持っており、斬り掛かって来る。
魔糸を使えば避けられるが迫るスピードが速く、そんな暇はないので振り抜いて来た腕を掴み、逆立ち状態になると腕を掴んだまま男の背後へ回り、次に迫っていた奴に向かって男を思いっきり投げると下から来る奴の手を掴み互いにズレると、落下していた奴の身体を蹴って跳び上がると斬り掛かって来たので、魔糸を近くの建物に張り付け移動。
すると移動した先へ下から向かって飛んで来る忍者。
先程の奴が他の者を投げてる。
面白い戦い方だな。
なんて思いながらまたも魔糸で移動し避けると、更に3回続けて同じように移動して避ける。
空中で腰に刀と脇差しを装備し、4回目に飛んで来た奴の短剣を刀で防ぎ弾くと素早く斬り刻む。
空中で肉片と変わる忍者。
そのまま屋上へ着地すると忍者が前と後ろに姿を現し、直刀で斬り掛かって来る。
一歩踏み込み、前の直刀を先に弾くと素早く振り向き、後ろの直刀を弾くとほぼ同時に腹を蹴って吹っ飛ばすと身体を捻り、刀を横一閃。
それで前から来ていた奴の身体を切断。
続けて左右から挟むように迫る忍者。
首と胴体を同時に狙う直刀。
屈んで首を狙う直刀を避けながら胴体を狙う直刀を刀で防ぎ、溜気で弾いて体勢を崩した左側の奴へ踏み込み、右の奴が刃を返して斬り返して来たのを避けながら左の奴の横を通り過ぎると同時に胴を薙ぐように斬る。
そこで右の奴が踏み込んで直刀を斬り上げて来たので、左へ回転して避けると空いた胴を素早く切断。
次が来ないので刀を振って血を掃うと気付けば、忍者部隊がパッと見ただけでも50人程に増えていた。
周囲の屋上や建物内からこちらを見ていたりといろいろだ。
街に居る暗黒街の奴が全員集まったのかな?
襲って来ないのは様子見か?
俺がそこでサスケさんに、暗黒街の襲撃を受けてる事と場所を念話で知らせると『すぐ向かう』と言って念話が終了。
サスケさんが来るまで訓練の続きをしようかね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます