第106話 がっつり生産。

スキルを教わった後、シュートは次元門の仕切りをするため残り、俺はレインの部屋へ戻る事に。


戻るとレインと教授がまだ楽しそうに話をしていたが、用事が終わったので帰る事を告げると教授がまだ話をすると言うので、帰りはどうするのか聞くと自分も転移が出来るらしく、それで帰るという。


知っている場所じゃないと転移は出来ないので、来る時は俺の転移で来ただけだったのか。

自分で帰れるなら後はご自由にしてくれと部屋を後にし、街へ出て食材を買いに行く。


明日出発だからな。

今日中に料理を作ってインベントリに入れておかないと。

料理はまだ残ってるが、魔の領域を抜けるのにどれくらい掛かるか分からないからね。


部屋を出ると以前行ったデパートの近くへ転移し、建物に入ってエレベーターで食材が売ってる階へ行くと地球のデパートをふと思い出す。

店内だけ見ると地球……いや、並んでる食材が違うな。

果物、野菜、肉、お菓子、調味料、パン、惣菜など種類は同じだが、中身はまったく違う。


肉は全て魔物かスキラス、果物は見た事が無い物が多く、地球の果物に似てる物も少しある。


お菓子は地球の物と似てるな。

スナック菓子、アメ、ガム、グミ、ラムネ、駄菓子まであるのか。

ちゃんと洗剤系もあるぞ。

クリーンが使えないからね。


何だかんだと店内を見て回り、食材を購入し終わるまで約1時間半程掛かってしまった。

思わずデザートのケーキとプリンを買ってしまったよ。

買い物かご3つ分山盛りで購入したら、会計してくれた店員が驚いてたな。



支払いを済ませて全て収納し、店を出て路地裏に入ると特殊空間へ転移してさっそく料理を始める。


ちなみに収納が使える元プレイヤーの万引き対策に全ての棚に、監視カメラが付いていた。


店員に聞くと以前は多かったらしいが、最近は無くなったそうだ。

この国で万引きをして捕まると二度と入国出来なくなり、下手したら死刑らしい。

そんなリスクを背負って万引きをする奴は居ないだろう。


特殊空間の真ん中に土で綺麗な台を作り、食材を並べる。

肉、野菜、米等々。


「さて……」


何を作ろうかなぁ。

インベントリに入れておくから、どんな物でも出来立てが食える。


そして決まったメニューは、ハンバーグ、カレー、ラーメン、唐揚げ、焼き肉、寿司、おにぎり、サンドイッチ、ハンバーガーだ。


俺は料理スキルのレベルが結構高かったので、現実で作るよりもゲーム内で作った方が美味い物が作れたんだよね。

それが今じゃ現実でも作れるのは有難い。


料理は基本捏ねたり、熟成させたり、焼き、煮る、蒸す、茹でる、握る、切る、をすべて錬成印で出来る。

たまに手でじっくり魔力を流しながら混ぜたりすれば、格段に美味くなるのです。


数時間掛けて料理を全て100人前作り、出来上がった物は収納していき、全ての料理を作り終えると続けて特製干し肉を作る。


タレは、俺が自分で作った物でそれに肉を浸け、最後は錬成印で熟成させながら乾燥させると完成。

ちなみに肉は、スキラス、魔物、ゲーム時代大量に狩ったドラゴン肉を使った。



そして更に1時間後。


「ふぅ~」


久しぶりにがっつり生産をやった気がするな。

あっ、ギンジの装備も作っとくか。

直刀とギンジはクナイを使ってたし、クナイと忍び装束にしよう。


「……よし」


ついでに自分の装備も作ろう。

武器はあるから良いとして、ファンタジー風の忍び装束を変えようかな。

俺の装備をギンジにあげても良いか。

ちょっと調整して少し変えれば十分使えるはず。


そして俺の装備は、近未来忍者だ。

パワースーツ的な感じだな。


全身黒で良いバランスの身体のラインになるように調整し、素材は勿論ドラゴンの鱗と皮を使う。


そこでふと思いつく。

あのパワースーツみたいに次元コアを使ってみるかと。

しかし、蛍光色がスーツに入るので止めにした。

夜だと目立って仕方ない。


そして数時間後、完成したのがこれだ。


ギンジの直刀。

『【名前】銀狼

 【ランク】S

 【効果】耐久強化、斬撃強化、餓狼

 【詳細】職人が思いを込めて打った直刀で、切れ味はドラゴンの鱗を切り裂き、耐久はドラゴンブレスをも耐える程の直刀。その品質は、達人業に部類される。魔力を流し、発動させると狼の形をした魔力が対象に食らいつく。

 【製作者】匿名。』


クナイはこんな感じ。

『【名前】白狼

 【ランク】S

 【効果】耐久強化、斬撃強化、転送

 【詳細】職人が思いを込めて打ったクナイで、切れ味はドラゴンの鱗を切り裂き、耐久はドラゴンブレスをも耐える程のクナイ。その品質は、達人業に部類される。魔力を流し投げると一定時間経つと手元へ戻る。

 【製作者】匿名。』


忍び装束は俺のを調整した物で、ランクは当然Sである。

ドラゴンの素材を惜しみなく使ってるからね。


そして俺の新たな忍び装束がこちら。


『【名前】なし

 【ランク】S

 【効果】耐久強化、衝撃吸収、自動調整、軽量化、修復

 【詳細】職人が思いを込めて編んだドラゴンの皮で作られた忍び装束一式。ドラゴンの鱗、骨が細部に使われており、魔力と思いが込められた合金プレートが入っており、ドラゴンの牙や爪も通さない。

 【製作者】匿名。』


頭部は、頭にフィットするように全体を覆い、目元は両目を覆うように黒いシールドになっておりドラゴン素材が使われてるので、並大抵の事では割れない。


全身にフィットするようにドラゴンの皮で作り、各部に合金プレートを入れてある。

付与印で軽量化してるので重さは殆ど感じない。

自動調整でサイズはピッタリになるし、動きを阻害する事もないように作った。

修復は、魔力を流すと破損した部分を修復出来る。


背中には直刀、腰には短刀2本。

全体をマット加工してるので反射はしないぞ。


装備をインベントリに入れ、作った装備を意識して忍換装すると、一瞬で新しい忍び装束に変わる。


「……よし、訓練しよ」


新しい装備を試さないとね。

その後、いつもの訓練をし、分身同士で戦闘訓練をして装備の具合を確かめると飯を食って特殊空間で眠りに就いた。



翌日、目を覚ますとクリーンで全身を綺麗にした後、朝食のサンドイッチを食って一服すると大学の近くへ転移し、ギンジが来るのを待つ。


まだ日が完全に上がってないので辺りは薄暗く、人も少ない。

そんな中、大学の門の前で待っていると閉まってる門の中から声を掛けられる。


「お待たせしましたか?」

「大丈夫だ」


ギンジは、いつもの白シャツ姿ではなく、緑の外套を纏っており、中は袖が無い武闘家のような黒い服を着ていた。

普段は、格闘家のフリをしてるからな。


周囲を確認して影に潜ると、影移動で門の外に出て来て姿を現す。


「いつでも行けます」

「行く前にこれを渡しとこう」


そう言ってギンジの装備をインベントリから出し、手渡す。

忍び装束一式の上に直刀とクナイ。

それを見たギンジは目を見開き、一瞬固まるがすぐ受け取り、嬉しそうな顔をする。


「言ってた装備だ」

「ありがとうございます!」

「忍換装のやり方は分かるよな?」

「はい」


さっそく収納し、忍換装すると以前のハンゾウに似た忍者姿になるギンジ。


「使ってた装備よりは良いと思うぞ」

「動きやすくて軽い。本当にありがとうございます。いくら払えば?」

「合格祝いだ。受け取れ」

「……ありがとうございます」


深々と頭を下げる。


「気にするな。じゃあ行くぞ。途中まで転移で行く」

「はっ!」


そう言ってギンジと2人、魔の領域の手前へ転移した。

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