VRMMOで最強忍者になった男~異世界でも最強を目指す~
あれです。
1章 最強忍者参上
第1話 目を覚ますと……。
ふと意識が浮上し、いつの間にか自分が寝てしまったと思い、目を開けると木々の隙間から綺麗な青空が見えた。
俺は
グランドフリーワールドというフルダイブ型VRMMOに嵌り、運営が最高難度職業と謳う忍者でプレイし、プレイヤー最強を決める大会で何とか優勝して最強の称号を得た。
まあ、大会には偽装職の侍で出たんだけどね。
忍者は掟があり、俺が忍者だとバレてはいけないのだ。
そして俺の忍者としての顔は、いつしかハンゾウと呼ばれるようになり、最強忍者と呼ばれるようになったんだけど、大会の最後に自分の分身と戦う事になったんだよ。
俺からすればいつもの訓練をしただけだが、その時は何とか勝って俺が最強となる。
ハンゾウは、俺の従者という事になってるが中身は俺だ。
で、大会も終わり、強くなるための訓練と依頼をこなしてたある日、俺のクランでサブマスをしてるサヤというプレイヤーからとある依頼を受け、拠点のゼルメア王国がある大陸の南方へ向かい、依頼を済ませて観光がてら帰る途中。
山の中腹に良い景色が見える場所を発見し、草地に寝ころんで寛いでいたらいつの間に寝てしまったようで、たった今目が覚めたんだが……。
「どこだここ?」
身体を起こし周囲を見回すと林の中で、背の高い木に囲まれていた。
立ち上がろうとした瞬間、頭に一瞬激痛が走り、すぐ治まると理解する。
「……マジか」
ここが現実だという事を。
寝てる間に何があった?
ゲーム世界で寝てたらいつの間にか現実に居た件について。
落ち着け俺……よし落ち着いた。
が、この記憶はなんだ?
俺の知らない記憶だが、知っている記憶。
ゲーム世界で『キジ丸』として過ごした日々の『ゲームとしての記憶』と『現実としての記憶』があるんだが?
キジ丸は誰がなんと言おうと俺がゲーム世界で、遊ぶために作ったアバターだ。
なのにそれが現実としての記憶もあるってどういう事?
ここがゲーム世界ならバグかと思うけど、自分の記憶や感覚でここが現実だと認識してるのでそれは無い。
ゲームキャラで現実に来ちゃった?
そんな事があり得るのか?
でも記憶と感覚でそうなってるんだよなぁ。
しかも、ゲーム内で死んだ事はあるけど、現実としての記憶でもそれがあるのが不思議な感覚だ。
なんだこの感覚は……既に感覚でメニューが開けない事も理解出来てる自分に違和感しか無いんだが?
置き去りにされて勝手に理解しているような感じだな。
俺は地面に座りながら腕を組み、目を瞑って少し情報を整理する。
……なるほど、この感覚。
木島康太とキジ丸としての感覚が混ざってるんだ。
俺はキジ丸として自覚したら良いのかそれとも、木島康太として自覚すれば良いのか…………キジ丸だね。
まあ、どっちも俺なんだけど。
しかし凄いな。
キジ丸ってこんな頭が良いのか。
しかも精神力が高く、常に冷静。
流石最強。
もしかしてこれは、ゲームで得た耐性スキルのお陰かな?
そう言えば、職業スキルとか習得したスキルはどうなってる?
…………ほうほう、俺が習得していたスキルは全てゲームの時とは違い、現実としての記憶がある。
例えば忍者スキルの分身。
これはスキルでやっていたがキジ丸としての記憶には、魔力制御と技術で分身を作り出していたという記憶がある。
つまり、ゲームの時にやっていた事は全て、ゲームシステムが無い状態でやっていた記憶があるのだ。
「何がどうなってこうなった?」
現状が分かる記憶は一切無いのです。
俺はインベントリから煙草を取り出し、指先に小さな火を灯すと煙草に火を点け深く吸い込み、一気に煙を吐き出す。
「フゥ~……」
メニューは開けないが、インベントリも問題無く使えるのは有難い。
収納していたアイテムも残っているとはね。
ふと煙草を見て思う。
これは俺がゲームで作った特製煙草で現実と違い、身体に良い煙草だ。
実際、現実になった今もその効果はあるというのは理解してる。
何がどうなってんだか……。
フレンドの皆はどうしてるんだろ?
こうなってるのは、俺だけじゃないはず。
ってか、ここはどこなんだ?
ゲーム世界が現実になったのか?
と思いながら煙草を吹かし、自分の能力に感心していた。
こうして煙草を吸いながらいろいろ思考を巡らせているが常に、周囲の状況が手に取るように分かる。
これは空間感知、魔力感知、気配察知の技術だ。
半径約200メートル以内に人間は居ない、小さな生物や動物は居るようだが、危険な生物は居ないな。
あっ、巻物はどうなってる?
と思いインベントリから取り出し、口に煙草を咥えながら巻物を開くが、やはりゲームの時のように設定画面は表示されない。
まあ、キジ丸の記憶で理解してたんだけどね。
だが俺が確かめたかったのは、巻物というより『掟』の方だ。
キジ丸の記憶でも掟は絶対だが、その掟は今も有効なのか。
そんな事を考えていると、遠くからこちらに急接近する物体を感知。
数は1体。
「……ん?」
近付くにつれその形がハッキリ感知出来るようになり、頭に?が浮かぶ。
接近する物体は、四足歩行の獣型だが身体の一部が『機械』になってる。
大きさは全長4メートル程で高さは2メートル程の、サーベルタイガーのような生物?
もう1分もしない内に到着する。
俺が巻物を収納し立ち上がると木々の隙間を縫うように走り、グングンと接近する獣を視界に捉え姿を確認すると、右目と右耳と右前脚と右後ろ脚の部分が機械で胴体の一部も機械。
怪我をした獣を誰かが治したのかそれとも改造したのか……それより気配察知では完全に俺を敵視してるな。
殺気が漏れ過ぎだ。
この世界の魔物なのか誰かが作ったのかは分からないが、向かって来るならやるだけだね。
それに今の自分がどれ程強いのかゲームじゃなくなったいま、自分の中にある記憶と感覚にズレは無いのか確認するには丁度良い。
ドスドスと機械の脚で地面を蹴る音からは、奴の重さが伝わってくる。
なのに動きは速い。
俺が煙草を咥えながら仁王立ちで待ってると奴は、木の陰に一瞬隠れると跳び上がり、機械の右前足にある刃のような爪を振り下ろして来たので左腰にある刀で抜きざまに受け止め火花を散らす。
片手で受け止めると同時に溜気で奴を弾くと後ろ脚で立つ状態になり、その隙を突いて奴の腹に回し蹴りを入れ吹っ飛ばすと、木をなぎ倒しながら数十メートル吹っ飛ぶ。
うむ、身体能力はゲームの時のままだな。
刀を持つ自分の手を見て意識を身体に向けると、ある事に気付く。
いつも訓練のために魔力で加重をしてたのに、この世界に来た時に解除されたのか今は加重が解除されてる。
縛りも解除されてるし。
両方やってから仕切り直しだ。
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