多種族世界の最弱種

@suritati333

第1話 最弱種、攻略者になる

「これ、今日の分」


 一緒に暮らしている幼馴染のソフィがお金の入った袋を机の上に置く。


「ん、ありがと」


 ソフィは攻略者だ。最強格とも名高い天空族で日々ダンジョンを攻略し、こうしてお金を稼いでくる。


「ある、攻略者一緒にやろ」


 ソフィはこうして度々、攻略者をやろうと誘ってくる。


「前も言ったろ、俺じゃなんの役にも立たないって」


 何を隠そう俺の種族は只人族だ。魔法適性が低い、それどころか無いのだ。その上身体能力が低く戦闘面ではてんでダメだ。


「それに俺だって仕事があるの」


「辞めればいい、あるの稼ぎは雀の涙」


 俺だって毎日働いているのだが、レベル6の攻略者様と比べたら差は歴然だ。


「そうは言ってもただ付いてくだけってのもなぁ」


 何もせず後ろに付いていき守ってもらって、その上お金を貰うなんていうのは出来ない。


「戦う以外にもある、最近はレベルも上がってそれが増えてきた」


「そうなの?」


 初めて知った、攻略者は魔物と戦うことが仕事だと思っていたがそれ以外にもあるのか。


「そう、だからやろ」


「うーん、そうは言ってもなぁ」


「大丈夫、信じて」


 ソフィが俺の手を取り上目遣いで顔を覗き込ませてきた。


「うっ...」


 俺は次の日ソフィと共にダンジョンに行くことになった。



ーーー

「この格好で大丈夫かな?俺も武器とか持った方がいいんじゃない?忘れ物大丈夫だっけ」


 今はダンジョンに潜るためギルドへ攻略者として登録しに向かっている最中だ。初めてのことに緊張してしまい不安なことばかりが頭をよぎる。


「ある、うるさい」


「でも本当にこれでいいのかなって、だって魔物と戦うんだよ?」


「戦うの私、ある何も必要ない」


 そんなことを話しているうちにギルドに着いてしまった。大丈夫かな


「あるを攻略者に登録して、私のパーティにする」


 ソフィが受付に俺のことを話してくれている。


「分かりました。ソフィエル様もついにパーティを組むのですね!いやぁ〜あの孤高の天空族と言われていたソフィエル様が、ついに釣り合い得る実力のある人を見つけたんですねぇ」


 孤高?実力の釣り合う?なにそれ聞いてないぞ。


「ちょ、ちょっと待ってソフィ、大丈夫なんだよね?」


「大丈夫だから」


 心配になりソフィに小声で聞いてみるが返ってきたのはそっけない返答だった。


「はい、ではこちらが攻略者カードとなります。更なる活躍を期待してますね」


「あ、あはは...」


 ニコリと笑い俺の方を見る受付嬢と目があうが、引き攣った笑いを返すことしかできない。

 本当に大丈夫なのだろうか

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