第82話 借金総額


 聖歴1430年9月18日。

 リバースカース号はヴィイパーレックスの渦潮に帰ってきた。一抹の不安として海賊狩りがまだいるかとも思ったが、ラトリスが知り合いの海賊に確認をしたところ、どうやら3週間以上前にどこかへいってしまったとのことだった。


 俺たちは逸る気持ちのままに査定所へ革袋一杯のルルイエ―ル金貨をもっていった。


「こ、これはぁ⁉」


 硬貨マニアを唸らせるとても貴重な金貨たちの査定結果は次のようになった。


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【今月の査定】

 ルルイエール金貨 ×40   平均価格413,000シルバー

【合計】16,520,000シルバー

【借金充当額】5,000,000シルバー

【借金繰越額】2,840,000シルバー

【管理口座資産】11,252,200シルバー

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 俺たちは査定所の入り口で飛び跳ねた。

 喜びあった。この幸せを。ついに俺たちにも貯金ができたのだ。


「ここまで長かったのです、ナツっ‼」

「感動、だね、お姉ちゃん」


 お互いの健闘を称えあう。本当によく頑張ったと賞賛の言葉を交換する。

 そんな空気感のなかにあって、我が海賊パーティの長はすでにペンと紙で何かを計算している。


「何しているんだ、ラトリス?」

「借金がいくら残っているのか、確認しておこうと思いまして」


 彼女はこれまでに返済した金額を記しつつ、筆算で残りの借金を算出した。

 俺は数字を見て、目をしばたたかせる。よく意味がわからなかった。


「それって……俺たちの借金なのか?」


 ラトリスの手元の紙に並んでいる文字列の意味をそのまま受け取るとすると。

 残り借金『23億7000万シルバー』──ということになる。


「借金総額です。毎月500万シルバー返済の40年ローン。ここに利息が乗ります」


 地獄かな。ラトリス、俺のためになんという業を背負っていやがる。どうやらまだまだ頑張る必要があるみたいだ。

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