第7話

 虚空に消えた手をずるずると抜き出す。

 人の手を掴んでいた。

 手から頭、胴体とそんな順番で出てくる。

 面倒になったのかがっと丹華が引き抜いた。


「いっつぁぁぁ。何ここ。ってげっ。丹華じゃん…」


「『げっ』とはなんだ『げっ』とは。おい少年!答えろテメェ!」


 こ〜れだからこの少年は……


 そんなことを考える丹華。

 いや、自分から呼び出しておいて何様だよって感じだが。


「え〜だって丹華が俺呼び出す時は必ず面倒ごとを引き連れてくるじゃん」


 この少年の口が悪いのが原因かもしれない。


「いやお前呼び出す必要なかったら呼び出さないだろ」


 真顔で丹華は言い切った。


 ど正論である。

 全くもってその通り。

 必要がないなら呼ばない。

 必要だから呼んでる。

 彼女にとって必要なことには面倒ごとが付きもの。

 だって面倒じゃないことは自分で片付けれるから。

 だから呼び出し=面倒ごとになっているのかも知れない。

 そうだそうに違いないのだ。

 決して仕事の一部を丸投げするために呼び出されているわけではない。

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