寝不足vsお仕事

猫月蘭夢@とあるお嬢様の元飼い猫ショコラ

第1話 プロローグ

「ああ、やっと、やっと眠れる……」


 パタン。

 その人物はベッドの上に倒れ込んだ。


「おやすみぃ……」



 ––––15分後


『プルルルル。プルルルル』


 携帯が鳴る音がする。


「いやぁぁぁぁぁぁッ!」


 途端、寝ていた人物が飛び起きる。


「はいもしもし」

『ああ、丹華ニケ君。すまない。君に緊急の用事だ』

「聞き飽きました。で、今回の用事は?」

『今回は"紫水晶"を捕まえてきてほしい』

「また彼女脱走したんですか……」

『ああ。施設側からは「いつの間にか消えていた」、だそうだ。よろしく頼む』

「だから毎回言ってますよね?あなた方がやれって」

『だがしかし我々がやろうとしても確実に失敗する』

「断言の証拠は?」

『毎回君に言う前から捜索しているがこれまで一回も見つかったことがない』

「他の人間にやらせるのはダメなんですか?」

『不可能。彼女を捕まえるに足る人材は君含め三名。君以外の二人の内片方は海外へ。もう片方は行方不明だ。ついでに言って仕舞えば彼らの場合絶対引き受けてくれないだろうしね』

「了解しましたよ。それにしたってそちらはいつになったら私を寝かせてくれるんでしょうね?」

『ま、また今度だな』

「へ〜そのまた今度っていつでしょうね」


 この調子で二人はずっと質問の形式をとった「はよ寝かせろや」の主張と「うん。いつかね!(絶対にいつかが来ないやつ)」の主張をぶつけ合ったのであった。

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