　夜の帳が降り、いよいよ花火大会が始まる。最初の一発が夜空に打ち上げられ、大きな音とともに色とりどりの光が広がる。その美しさに息をのむ瞬間だった。

「すごいね！」彩奈が歓声を上げる。

咲も感動していたが、その視線の先にはもう一つの驚きが待っていた。少し離れた場所で花火を見上げている男子がいた。それは、クラスメイトの田中翔太だった。

翔太もまた咲に気づき、微笑んで手を振った。咲は少し照れながらも手を振り返す。花火の音に負けないように、翔太が声を張り上げて言った。

「咲、一緒に見てもいい？」

咲の心臓が高鳴る。予想もしなかった展開に、胸がドキドキしていた。「うん、もちろん！」

翔太が近づいてくると、咲は改めて彼の優しい目に見とれた。二人は並んで座り、再び花火に目を向ける。次々と打ち上げられる花火が夜空を埋め尽くし、その光が二人の顔を照らしていた。

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