2枚舌
@wanwanwan123
2枚舌
娘は夏の合宿にでかけた。
「気をつけて行ってきてねっ!」
「うん 行ってきますぅ!!! 」
元気よく 娘は玄関を出た。
太陽は、 異常なほど暑かった。
その日の夕方 1本の電話が入った。
「はい、木村です。」
……何分話しただろうか、、、
「…………………………失礼します。」と 電話が切れた。
まだ、私の頭の中が 受け入れてはいない。
まだ、私は 理解ができていない。
娘が……水死?、しんだなんて。
合宿さえ 行かなければ、、、
なぜボートになんて乗ったの?
娘の 初七日が終わると、やはり娘はこの世には居ない。
どんなに気持ちが拒絶していても、現実は現実。
私は、これからは1人、この家で。
毎日毎日毎日、 仏壇に手を合わす。
毎日、娘を想う。
毎日、話して話して話す。
私の目から、もう涙が渇れて出てこない
泣いて泣いて泣いて…
ある朝、舌が2枚ある。
あぁ私の舌は2枚なんだと、別に驚く こともなく、 現実を受け止めた。
声を出し泣きすぎたせいね。
今は、もう慣れたけど、さとみが毎朝お母さんに、「今日は、誰と誰が私をお参りにくるから、お母さんジュースとお菓子を用意してねっ」と知らせてきた、その時は驚いたけど。
本当に来てくれる友達。
必ず、さとみの予告通りに。
「さとみ」
「近所の奥さんが、あなた舌2枚あるわよって言うのよ、だから、お母さん病院に行って来るね。」
手術を終え帰宅したその日から、娘の声は聞こえない。
2枚舌 @wanwanwan123
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます