散々、散文。

もぐ

標識。





 どこへ向かおうかねぇ。

 どこまで行こうかねぇ。


 いつまで待ってくれるかな?

 今でも待ってくれてるかな?


 どうにも僕は迷ってばかりで。

 何かにつけ止まってばかりで。


 歩き続けてはいるんだけどね。

 景色は流れているんだけどね。


 それでも僕は、どこにも辿りつけてないや。


 いつかとは違う景色を見ているのに、

 僕はこの場所から出られそうもない。


 ただの一歩としてだよ。



 僕らの生きているこの世界は

 あまりに優しいもんだからさ


 ところどころ、

 あちらこちら、


 標識だらけじゃない。


 一方は右を指し

 一方は左を指し


 どっち行ったら良かったんだろ。



 標識たちは、

 その先に何があるのかを

 親切に教えてくれるんだけど


 けれど、


 残念な事にそこが

 僕を必要としているのかまでは

 教えてくれないんだねぇ。


 その先に道があるのかさえも

 教えてくれなかったよ。


 そう

 例えば


 その先に道がなくとも

 誰かが言ってたよ

 それか歌ってたよ


 道が無くても

 歩く意味はあるんだってさ。


 けれど。


 けれどさぁ。


 そんな事言われたってやっぱり

 怖いものだよ。


 もしも

 頬に手に


 うっすら皺が刻まれるほどまで

 その道標の通りに歩いた先が


 途切れたコンクリートだったら、

 なんて。


 考えただけで歯が鳴りそうだよ。


 坂道を登った先は、

 本当に、


 何かステキなものが待ってるのかな?



 登っているさなかには

 下り坂の様子は見えない


 登った先は

 ほんとうは崖なんじゃないの?


 いちど、

 空から眺めてみたいもんだね。



 そうしたら

 きっと見えると思うよ。


 青じゃなくて

 黒じゃなくて


 きっと


 なんにも無いんだ。



 それが多分、

 一番優しい。




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