第27話:病院のベッドにて。
眠っている間じゅう沙都希の意識は混濁していた。
だから別れた颯太と再開したことも夢に出てきたりして、うつらうつらした闇の中で、眠ったのかどうなのかそれさえ分からなかった。
そして次の朝、沙都希が目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。
(私、どうしちゃったんだだろう)
ふと気づくとベッドの横に祐がいた。
「お、気がついたか?」
「祐・・・」
「私、どうなったの?」
「普通に話してたら急に倒れるからびっくりしたよ」
「なんか悪い病気じゃないかって心配したし・・・」
「夕べから一晩、寝ずに看病してくれてたの?」
「看病っていうか・・・俺も寝てたけどな・・・」
「一応、脳のMRI撮ったみたいだけど、異常はないってさ」
「ついでに血液検査とか、レントゲンとかいろいろ取って調べたみたいだけど
どこにも異常無し・・・」
「妊娠もしてないって・・・」
「ゴムしてなかったからな・・・失敗しちゃったかと思った」
「あはは・・・なに言ってるの・・・」
「多分、過労からくる貧血だろうってさ」
「もう心配ないよ、今晩一晩様子みて調子いいようなら明日には退院
できるって・・・医者がそう言ってた」
「帰ったらレバーいっぱい食わなくちゃな」
「ごめんね、心配かけて」
「そうだよ・・・俺たちにとって、こんな大事な時に」
「店、忙しかったからな・・・ちょっと働かせすぎたかな・・・」
「ねえ、お店、大丈夫?」
「私がいないとお客さんハケないでしょ」
「店のことは心配しなくていいよ」
「おふくろが、がんばってくれてるよ、頼りないけどな」
「それでもダメなら、店はしばらく休んでもいいんだから・・・」
「喜代さんにも迷惑かけたね・・・」
「いいから沙都希はよくなるまで、ちゃんと養生しなきゃ」
「あのね、私・・・意識がはっきりしない時、昔別れた人と再開した時のことを
夢見てたみたい・・・」
「私、以前、私が一方的にフっちゃった彼がいてね」
「別れたあとずっと、気になってたの・・・一方的にフッたから」
「心の弱いところがった人だからね、自殺とかするんじゃないかって心配してた」
「だから、どうしてるのかずっと気になってて」
「そしたら再開したカレ、結婚してたの・・・」
「私、胸のつかえが取れた気がした」
「よかったって思った」
「あ・・・ごめんね、昔のカレの話なんかして・・・聞きたくないよね」
つづく。
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