「Music Has a No Correct 」
@Aojishakunoi
Op.1凪とヴァイオリン
わたしは みやざと なぎさ。
きょうからわたしも小学生!!
わくわくいっぱい!げんきいっぱい!がんばるぞ!
凪は小学生になって母親に何か習い事をやらないかと誘われていた。
彼女は何かやりたいわけではなかったので、なにも習い事を始めず、
気がつけば小3の二学期になっていた。9月といえど残暑がまだまだ厳しかった日のこと。
彼女はお気に入りのクッキーとリンゴジュースでおやつタイムであった。するとついていたテレビからなにやら美しい旋律が聞こえてきた。
「ママー、何あの変な形の木?綺麗な音だね!」
「凪、あれはヴァイオリンっかて言って張ってある弦を手で持って
る弓で擦って音を出す楽器なんだよ。」
「へぇー!私あれやってみたい!!」
「(おぉっ!やっとくらいついた!)じゃあ習ってみる?
お父さんー!凪がヴァイオリン習ってみたいって!」
「おぉーどうした急に?... おっ!!あれは波崎 ジョーじゃない
か!この曲は彼が作曲した『海のコラール〜ヴァイオリンとピアノ
ドゥオのための〜』だな!この曲は思い出深いなぁ。高校生の時、東京芸術劇場で聴いたなぁ、あれは圧巻だった。ヴァイオリン、習ってみるか?」
「じゃあヴァイオリン買いに行く?」
「行く〜ー!!」
思い立ったが吉日ということで、3人は早速近くの弦楽器店を訪れ
た。
「せっかくやるならいい楽器がいいわよね」
「お父さん奮発しちゃうぞー!!ヴァイオリンには詳しいから、いいメーカー知ってるぞー!...お!ここタイタン・ストリングス・インストゥルメンツの楽器があるのかー!ここの楽器は名器だぞ!せっかくならここのいいモデルにするか!」
「30万円...結構いいお値段するのね」
「わぁ!かっこいい!私この楽器がいい!」
「上位モデルにしてはリーズナブルな方だと思うぞ。...すいません、
これをお願いします。」
「はい、かしこまりました。タイタンですか!お父様お目が高いですね!ここの楽器はリーズナブルな価格帯でですけど、昔ながらの
製法でいい音色でなってくれるんですよね。」
「な!お父さんの目は間違ってないんだぞ。この子は小3だけど、
結構大柄だし大人サイズの楽器でも良さそうだな!」
「かしこまりました。ただいまお品物を持ってまいりますね。」
「ねーねー、あの楽器が私の楽器になるの?」
「あぁ。これから頑張って練習するんだぞ!」
しばらくすると、店員さんがバックヤードから戻ってきた。
「こちらになりますね。只今、当店フェア中でございまして、楽器の顎あて、ケース、弓の演奏の邪魔とならない場所に無料で名入れをすることができますが、いかがなさいますか?」
「わぁー!やってもらいたい!!」
「なるほど、お願いします。」
「では先にお会計の方ですね。楽器代、六か年保証代合わせて369000円となります。こちらにサインをお願いします」
「私書く!」
宮里 凪
「ありがとうございます。字がお上手ですね。今何年生ですか。」
「3年生...です!」
「そうなんですか!?すっごく大人っぽく見えますよ。」
「ありがとうございます♪」
「お支払いはどうなさいますか?」
「(今月は節約しないとね...)カード一括でお願いします。」
「お預かりいたします」
ピピッ、アイショウバンゴウヲドウゾ...ニンショウシマシタ。
「確かに一括で396000円頂戴いたしました。名入れと書類の
印刷をしてまいりますので、少々お待ちください。」
「あの楽器、もう私のー?」
「そうよ。今お金を払ったから正真正銘凪の楽器よ。」
「やったぁぁ!」
「(ふふっ。この子の笑顔に比べれば40万円なんて安いもんね。)」
奥から聞こえていた機械の音が止み、楽器ケースのファスナーの閉じる音が聞こえ、店員さんがやってきた。
「こちらお品物になります」
ピカピカのベージュの楽器ケースが姿を見せた。メーカーロゴの下に、Nagisa.Mとかっこいい筆記体でレーザー刻印がされている。それは、凪にとって可愛い赤の習字バックより何倍もキラキラと輝いているように見えた。
「この刻印と同じものが他の二箇所にも入っております。そしてこちら保証書です。本日から6か年、定期点検や軽微な故障の修理が無料となります。ご来店時はお持ちください。」
こうして凪はヴァイオリンと出会った。
Op.2 凪父の過去編1〜ジョーの描く世界
へ続く
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