ロングよりショートを ②
リコは気まずそうに、視線をあっちこっちさせた。
サラサラの毛先を指で巻き巻きさせる様子が可愛らしい。
「うん、実はね。ごめんね。隠してて」
なぜ私が知っているのかを聞くのではなく、隠していたことを先に謝るあたりが、優しい。
隠すことなんかしてないんだけどね。私に言う義務なんてないんだから。
次刺す言葉までは、私は用意していた。あとは成り行きに任せる。
「リコ、私ね、今日告白しようと思っているの」
「ええ?!」
変に上擦った、可愛くはない声。首だけ前に出したりして、本気で驚いてる。これだのあれだの、何か言いかけては口を閉ざしている。
私は自分の身体を観察して、リコを待つことにする。
中心視野に、リコが映る。
左周辺に映る白い物体は、ベンチ。
呼吸の音は一定のリズムを刻んでいる。
毛先が、首元を撫でている気がする。
視覚から聴覚へ。
聴覚から触覚へ。
そして再び視覚優位に戻すと私は気づいた。
リコは怒っている。
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