68話 「あの幼女とはお喋りせずにはいられません」


 「オハナシ、混ぜてもらってよろしーデショーカ」

 

 モンスターが、許可を認めてくる。

 

  「いいだろう、この保次郎が許可する」


 俺が許可を出すのだ。

 この場の誰が、俺の許可を覆せようか。


 「私はスーサイド嫌いです」

 「貴女にも生きて欲しい」

 「貴女が生きていて私あれぐりーあ」


 「黙ってなさい」


 メイド長が、感情を抑えずに言う。 


 「ハイ」

 「黙ってます」


 モンスターは黙った。

 何がしたいんだろうかこのモンスターは。


 「古角家メイド藤沢早月」

 「佳代ねぇの一時召喚に応じて召喚」


  !

 早月ちゃんだ。

 早月ちゃんが来たらこのゲーム、メイド達に勝機がある。

 あるどころか、一方的に本当にリンチになってもおかしくない。

 何せ、早月ちゃんだ。

 早月ちゃんは、他の下賤のメイド達とは違う。

 僕が認めてる、可憐な美少女であり、幼いながらも、英雄となるべき人間だ。


 「なんていうのは口上だよ」

 「遊びに来たよお兄ちゃんお姉ちゃん達」

 「モンスターさん」


 「ハイ!」

 「一緒に遊びマショー!」


 モンスターが良い返事をする。


 「黙ってなさい」

 

 メイド長が、また感情を抑えもせずに言う。


 「私も喋りたいのデス」

 

 「あの幼女とはお喋りせずにはいられません」


 「メイド長。僕がこのモンスターに会話に混ざる許可を与えてやったんだ」

 

 「貴様風情が、僕の発言を覆すというのか」

 「身の程に過ぎた行為だ」


 「わかったわ」


 メイド長が、自身を抑える。

 わかってくれたようだ。


 「むかつくわね」

 「坊っちゃんの癖に」

 「主人面して」

 「生意気ね」


 わかってくれたようだ。

 うん、流石メイド長だ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る