第 67話 すまないな、メイド長。
「古角家メイド長深谷亜矢子」
「あのクズのせいで上手くいかない私の人生」
「その怒りを、ぶつけにきたわ」
メイド長じゃないか。
何をやってるんだメイド長。
メイド長は、いつも人のせい誰かのせい何かのせいにしている。
幾度となく、誰かのせい何かのせいにしてはと忠告しているが、変わらない。
「メイド長、君の人生が上手くいかないのは」
「全部、君自身が原因だ」
「誰かのせいにしていては」
「いつまでも人生が上手くいかないぞ」
メイド長には、優しい甘ったるい言葉をかけておく。
僕はどうにも、このメイド長には甘い。
ひいきだなんだと言われても、ひいきだな。
しかしだ、ひいきと言ってもひいきしてるのは、この古角保次郎様だ。
この古角保次郎様にひいきにして貰えるという事は、特別に名誉な事なんだ。
だから、問題ない。
「いいえ、坊っちゃん」
「全部あのクズのせいよ」
「あのクズがいなければ」
「私はとっくに死んでいたのよ」
「苦しむ事もなく」
「異世界転生からも抜け出せていたかもしれないわね」
ふぅむ。なんと言ったものか。
僕は、このモンスターの事を、よく知らないんだよな。
「僕は、君が生きていてよかったメイド長」
これは、心からの言葉だ。
僕の人生には、僕の異世界転生には、メイド長が必要だ。
「坊っちゃん。もう長くないのよ」
「英雄でない者の魂は」
「消滅している者もいるわ」
ふぅむ。僕には、分からない話しなんだよな。
こういうのは。
僕のような常設英雄からしたら、何が辛くて。
魂の消滅までいくのか。
何故消滅したいのか。
僕には分からない。
いくらひいきしていても、所詮下賤の者の気持ち等。
僕には分からないんだ。
すまないな、メイド長。
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