第25話

 ー--少し背の高いすらりとした少年の視点ー--


  ティアリスに何かあったようだ。

 家を出て、ティアリスの自宅に向かう。


  異世界転生者の召喚でもしたのだろうか。

  異世界転生者の召喚など辞めておけと言っているのに。

  召喚なら、僕がする。

  そう言ってきた。

  異世界転生者召喚がどういう事か、分かってはいるんだティアリスも。

  それでも、したんだろうな。


   僕だって、異世界転生者の召喚は試みてきた。


  が、出来なかった。


  ティアリスに異世界転生者を召喚させないため。


  そんな気持ちで、できるものではない。


  僕は、異世界転生者を拒んでいたぐらいなのだから。

  

  拒みながら、異世界転生者を召喚しようなど、無理な話しだ。


  ティアリスは、本当に異世界転生者召喚を望んでいたのだろう。


  だから、ティアリスが先に召喚をするのは道理だ。


  それが、どこの異世界であろうとも。


   僕は、異世界転生者に嫌悪感さえあった。


   憎しみも、諦めもあった。


   今日、今、異世界転生してくる者を僕は憎み恨み蔑み殺意もあった。


   それで、できるわけないんだ。


   召喚など。


   異世界転生者め。

  

   君など来なければよかったんだ。


   何故召喚されてきた。


   拒むこともできたろうに。


   それでも、召喚されてきて、何をする気だ。


   ティアリスを、殺しにきたのか。

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