第15話
筋骨隆々の少年が、画面に出現した。
もう、終わっていたんだ召喚は。
豪快に、ダッシュしてくる。
僕が長い硬直で身動きしようもない今、何を警戒する必要があるだろう。
少年に首を捕まれる。
首を捕まれたまま、地面に叩きつけられる。
痛い。
少女の打撃にも当て身投げにもカウンターにも遠距離攻撃魔法にも、こんな痛みはなかった。
この状況では、いや、もう、リバースゲージを使えるとも思えない。
その後も、首を捕まれたまま地面に叩きつけられ、画面端に向けて首を捕まれたまま突進し、画面端に叩きつけられる。
痛てぇよ。
この痛み、最高じゃねぇか。
前世で、こんな痛みが味わえたか。
前世の記憶は定かではないが、分かるぜ、ノンだ。
足りなかったんだよ。
あんな少女の拳で足りるわけないだろうが。
痛みがよ。
召喚士様の拳で足りたらゲームバランスの悪い糞ゲーだよな。
痛みがよ。
これでやっと、本当に異世界転生したんだ。
僕の本当の異世界転生はこれで始まったんだ。
少女はもう痛みから解放されているだろうが、攻撃に参加してこない。
召喚中は彼女自身は行動できないのか、召喚を維持するために魔力供給しているという事だろうか。
首を捕まれたまま、少年がぐるぐると回転しはじめる。
おいおい、お前良いじゃん。
振り回されてる感覚が、プレイヤーである自身に伝わってくる。
お前、前世で会った事あるか。
あるよな。
こんなにも良い奴と、前世であってないとは考えられない。
だってよ、生まれてくる世界には、意思が関係あるんだぜ。
無数にある世界といえど、関係性の強い奴とは、同じ世界か近い異世界にいるか。
多少の世界の違いを超えて引き寄せられるか。
それは、どこの異世界だろうとそこまでは変わらない全ての世界の不変のルールだ。
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