異世界転生して突然少女に村を救ってもらうわと言われてもチートスキルも分からないんだけど。 むかついたのでとりあえず少女に殴りかかりました

甘いからあげ

第1話

「堀口明徳、貴方にはこの村を救ってもらうわ」

 

 目の前の少女がそう告げた。

 これは異世界転生というやつだろう。

 前世の記憶は定かではないが、僕が死んだ事は分かる。


 「突然だな。ああ、分かったと言う前に聞きたい事はいくらでもある」


 「はぁぁ。男の子の癖にぐだぐだぐだぐだ、可愛い少女に助けを求められたら否応なしに助ければいいのよ」

 

 はぁ?なんだその理屈は。

 ぐだぐだぐだぐだ?そんなに喋っただろうか。

 いや、そんなに喋っていない。

 僕は、あまりの理不尽さに、目の前の少女に殴りかかっていた。

 僕、何も悪くありませんよね。

 このむかつく糞少女が悪いですよね。

 僕は謝りません。

 僕は何も悪くないのだから。

 100%このむかつく糞少女が悪い。


 少女が、にまりとするのは僕だけが見ていた。

 この部屋には僕と彼女以外いないのだから他の誰も見ていなくて当然だ。


 【ゲームが承認されました】


 アナウンスが聴こえる。

 成程、この異世界、異世界と行っても、僕の前世とそう遠くない異世界。

 この世界にもゲームがある。

 なら、僕はこの異世界でもゲームをするのだろう。

 そうしかない。

 少女も、これを見越しての暴言なのだろう。

 ゲームをしたい者同士が共にいれば、ゲームが始まるのは前世の世界でもこの異世界でも同じ事だ。


 現れたディスプレイには少年が描かれている。

 これは、僕ではないだろうか。

 このディスプレイの少年が、今の僕の姿が、前世の僕と同じ姿をしているかなんて保証はない。

 だが、そうだと推測しよう。

 キャラクターを選択画面から選ぶのではなく、自分自身をゲームに投影したキャラを使ったり、マイユニットを使うゲームスタイルなのだろう。


 手の前に、コントローラーが置かれている。

 見慣れた形だ。

 手に取ってみる。

 前世で、ずっと握ってきた形だ。

 握れば分かるさ。当然だろう。

 なら、この異世界でも握ろうコントローラーを。


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