死に戻れば戻るほどスキルをゲットできる王の力を手に入れたけど、世界が詰みかかってるのがやばすぎる!!ループ・ザ・キング!!
園業公起
第1話 ループの始まり
何度何度何度も繰り返しても駄目だった。俺は今日という一日を乗り越えることがどうしたってできなかった。
だから魔が差して君に手を差し伸べた。そしたら女神は怒り狂い。愚かな俺は暴君に墜とされたんだ。
2024年7月7日(一回目)
七夕で街は賑やかで華やかな空気に包まれていた。俺もまた今日という日を楽しみにしていた。幼馴染の
2024年7月7日(二回目)
いやな夢を見た。せっかくのデートの日なのに幸先が悪い。俺は今日、彼女に本気で告白をするつもりだ。幼馴染から恋人同士になる。それが今の俺の望みだ。だから俺は街へ繰り出す。彼女の待っている待ち合わせの場所まで行くために。だけど。またもサイレンが鳴って地面が揺れた。夢で見た通りの展開。だから俺はその場から必死に走った。そして空から降ってきた怪獣に踏みつぶされずに済んだ。だけど次の瞬間怪獣は地面に向かって火を吹いた。そして俺はその日に焼かれて死んだ。
2024年7月7日(三回目)
夢じゃない。繰り返している。でも意味がわからない。なんで突然怪獣が降ってくる?でもそんなことよりももっと大事なことがある。俺はすぐにスマホで百合羽に電話をかける。だけど彼女に繋がることはなかった。
「くそ!」
俺はすぐに走り出す。するとやっぱりサイレンが鳴って怪獣が空から降ってきた。前はわからなかったけど、怪獣は一体だけではない。数えきれないほど沢山降ってきているのが見える。俺はその中を走る。だけど今度は歩く怪獣のつま先に蹴飛ばされてぐちゃぐちゃになって死んだ。
2024年7月7日(4回目)
すぐに百合羽に電話をする。だけどやっぱり繋がらない。今度の俺は父のバイクを車庫から無断で借りて走り出す。またもサイレンが鳴り響いて怪獣たちが空から降ってくる。俺は怪獣たちを避けながら彼女がいるはずの場所へ向かう。
「あなた邪魔」
そんな声が聞こえた。凛として綺麗な女の声。そして俺のバイクは爆発に巻き込まれてコケて道路を滑っていく。体を打ち付けて呼吸が止まる。だけど幸い命に別状はなさそうだ。
「邪魔だよ。早く逃げた方が良いよ」
近くにSFに出てきそうなメカニカルなボディスーツを纏う女がいた。スーツ越しにもスタイルの良さがわかる。凹凸の激しいくっきりしたボディ。だけどその扇情的な体のラインと違って顔はひどく冷たげな印象を受けた。赤い瞳に銀髪。そして人形のように整った顔。百合羽を覗けばこんなに美しい女を見るのは初めてだった。
『GAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!』
怪獣の方向が俺たちの間に響き渡る。そして俺と銀髪の女の子に向けて怪獣は火を吹いた。また死ぬ。そう思っていたけど違った。その炎は彼女が左手から出す何かの淡い光の渦によって防がれている。そして怪獣が火を吹き終わると彼女は背中にくっついている大剣を抜いて、その場から大きくジャンプした。そして怪獣を頭から真っ二つに切り裂いてみせた。
「運がいいねあなた。だから早く逃げなよ。命より大事なモノなんてないんだからさ」
銀髪の少女はクールにそう言う。もちろん言っていることは正しいと思う。だけど。俺はすぐにバイクを起こしてその場を走り去る。命よりも大事なものはある。
「百合羽。百合羽。百合羽!頼む無事でいてくれ!」
俺は壊れていく街の中をバイクで飛ばす。そこは阿鼻叫喚の地獄。弾き潰れた人の肉片。焦げ付いた死体。泣きわめく人々。だけどそれらすべてを無視して俺は行く。彼女の元へ。だけど。
「困るねぇ。彼女を見て生き延びちゃった人がいると困るんだよねぇ。だからさ。周りのみんなと一緒に死んじゃってよ!ね!」
そんな恐ろし気なことを楽し気に言う声が響いた。それと共に俺の目の前で閃光が弾ける。そして全身を切り裂くような痛みと共に体がバラバラになって俺は死んだ。
2024年7月7日(5回目)
俺は再びバイクに乗って街に向かう。サイレンがすぐになって怪獣たちが空から降ってくる。俺はそれらの攻撃を必死によけながらバイクを走らせる。もちろんさっき会った銀髪の女がいるであろうところは通らない。そしてやっと俺は彼女との待ち合わせ場所である駅前の噴水広場に辿り着いた。
「百合羽!百合羽!百合羽!どこだ!どこにいるんだ!百合羽!百合羽!」
俺は彼女に電話をかける。すると近くから着信音が鳴り出す。彼女のスマホが近くにある。俺は恐れながらそちらに近づく。彼女のスマホを持つ黒焦げの死体があった。
「ああ…そんな…嘘だよな…違う…こんなの…」
俺はその場で膝をついて、そのスマホを握る黒焦げの死体を見詰める。こんな憐れな死に方なんて認められない。だけどふっと気がついた。
「いや。この死体…女じゃない。男だ!どういうことだ?!なんで彼女のスマホを男が持ってるんだ?!」
スマホを持っていた死体は百合羽とは思えないほど大柄だったし、焼け残っていた服も男物のビジネススーツだった。
「なんなんだよぅ。何が起きてんだよぅ。百合羽ぁ。君はどこにいるんだよぅ」
俺はその場であまりの混乱に泣き出してしまった。そしてだから空から降ってきたミサイルに気がつかずに爆風に飲み込まれて死んだ。
2024年7月7日(6回目)
例によってバイクで彼女との待ち合わせ場所に向かう。俺は淡々とRTAの様にバイクを走らせた。
「百合羽!百合羽!!」
まだ破壊されずに済んでいる噴水広場に辿り着いた。人々が四方に逃げ纏っている中を俺は必死に彼女の姿を探した。
「
俺を呼ぶ声がした。振り返るとそこには百合羽の姿があった。
「百合羽!」
俺は百合羽を思い切り抱きしめる。彼女の長い黒い髪が俺の鼻をくすぐる。その感触が何より愛おしい。
「さあ、早く逃げよう!」
「でも逃げるって。逃げるってどこへ…」
百合羽は今にも泣きそうな顔でそう言った。確かに何処へ逃げればいいんだろうか。だけど。それでもここにいるよりはきっとましだろう。だから俺は彼女の手を引っ張ってバイクの元へ向かおうとした。その時だった。ぱんと乾いた音がした。そして胸に鋭い痛みを感じた。
「え…。何これ…」
俺はその場で力なく倒れてしまった。視界はひどく朦朧としている。
「ふぅ。子供は撃ちたくなかったんだがな。ましてや女神の近くにいる男なら特に」
「ですがこの幼馴染の
「ふん。プリンス適正ねぇ。あんなものが数値化できるとは思えんがね。しょせんあんなものは女神のお気持ち一つだろうに」
何かの会話が聞こえた。視界に黒いスーツを着た男女が見えた。そしてそのまま俺は息絶えてしまった。
****作者のひとり言*****
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