四章

第23話 ダンジョン探索の準備

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 第23話 ダンジョン探索の準備

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 酒工房を造ったら、ダンジョンを発見した。

 馬王の注文も結構あって、特にバイエルライン公爵家が大量に購入してくれ、さらに定期的に購入することで合意したと聞いている。

 おかげでお父様は毎日忙しくしている。そんなお父様に、俺はお願いをした。

「何、ダンジョンに入りたいだと?」

 あの日以来、酒倉庫になっている旧坑道以外は、全ての旧坑道が閉鎖された。ダンジョンになってないか確認をし、俺が見つけたところ以外は特に問題ないことが確認された。

 だが、いつダンジョン化するか分からないため、旧坑道の封鎖は続けている。定期的に領主軍によって確認がされることになっている。

 そんな中、ダンジョンは一般公開された。ダンジョンは放置していると、モンスターを大量に生み出し放出する。だから、ダンジョンのモンスターを間引く人を入れることにしたのだ。

 ダンジョン探索をする人を一般的に探索者と呼び、数組の探索者がすでにやってきている。

 探索者がダンジョン内で狩ってくるモンスターの素材を扱うために、商人もやってきた。今は掘立小屋やテント暮らしの彼らだけど、そのうちちゃんとした店や宿ができることだろう。

「だが、トーマはまだ七歳だからな……」

「無理はしません。十分に安全マージンを取って探索します。ですから、お願いします」

「……分かった。トーマはロックスフォールの男だ、モンスターと戦う宿命の家を背負って立つのだから、モンスターとの戦闘は避けられん。だが、本当に奥へはいくなよ」

「はい、ありがとうございます!」

 宿命を背負っているかはともかく、モンスターとの戦いはレベル上げをするためにも避けては通れない。


「鎧よし! ヘッドギアよし! 剣よし! 短剣よし! 弓よし! 矢三十本よし! 食料よし! 水よし!」

 ダンジョンに入るために、俺は装備と持ち物を点検した。鎧といっても胸当と籠手、それから脛当だ。まだ体が小さいから金属鎧はない。剣も刃渡り四十センチくらいの短いものだ。ベンのお父さんである鍛冶師ボーマンさんに鍛えてもらった。

 弓はやっとプルプルがなんとかなり、的に当てることができる程度の腕になった。遠距離攻撃のほうがいいモンスターもいるかもしれないから、持っていく。

 これから俺が入るのは、アシュード領で初めてのダンジョンということで『アシュード・ダンジョン』と名づけられた。お父様には言えないが、馬王に比べるとインパクトはない。

「それではいってきます」

「本当にいくの? 今からでも止めていいのよ」

 お母さんに心配をかけるのは本意ではないけど、『名を奪われ、忘れ去られた者』様との約束を果たすために、俺はどうしてもレベルを上げないといけないのだ。

「心配をかけてごめんなさい。でも、俺はいきます。無事に帰ってくると、約束します。ですから、いかせてください」

「アリューシャ。トーマを笑顔で送り出してやるんだ。なに、トーマなら大丈夫だ。アリューシャと俺の子じゃないか」

「……はい。トーマ、無事で帰ってくるのですよ」

「はい! では、いってきます!」

 屋敷を出て歩いていると、酒工房の前にベンが立っていた。

「遅いぞ、トーマ」

「はいはい」

 俺がダンジョンに入ると知ったベンが、俺も入ると言ったことでこうなった。

 ベンは先端にトゲトゲがついたモーニングスター、鉄で補強された小型の木の盾、剣道の胴のような防具、皮の手袋、脛当、靴は金属で補強し、鍋のようなものを被っている。

「てか、それ鍋じゃんっ!?」

 思わずツッコんでしまった。

「オヤジがこれでも被っていけと言うんだよ」

「ないよりはマシだな」

 シリアスなダンジョン探索だが、こういったお笑い枠があっていいのかもしれないな。


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