慣れない事はするもんじゃない
天川裕司
慣れない事はするもんじゃない
タイトル:慣れない事はするもんじゃない
俺はその昔、あの人気漫画『ゲゲゲの鬼太郎』にめっちゃ憧れていた。
俺の聖典と言っても良いほどの『鬼太郎』を読んでいた時、
やっぱりどうしても我慢できなくなって、
それまでずっと想い描いてきたあの夢を
本気で叶えてみようとした。
夢とは、追いかけるから夢なんだ。
空に現れるあの虹と一緒で、
追いかけ続けてそれに近づき、
その麓にたどり着ける感動があるから夢になる。
そんな自分だけの想いをずっと心に掲げ、
竹やぶに入っていく。ウチから最寄りの竹やぶ。
あいつは九州出身で、確か鹿児島県生まれだったらしいから
ここには居ないかなぁなんて思ってたが、居た。
やはり妖怪だから、神出鬼没の形で
どこにでもちゃんと現れてくれるんだ。
子供の夢に応えてくれる形でちゃんと現れてくれる。
俺はそう信じ、そいつに近づき、
「ね、ねえ!お願いだから1度だけでいいから、乗せてよ!!」
と思いっきり叫んでいた。
「………………よかバイ」
結構ためてきたあと、そいつは快く返事してくれ、
俺を背中に乗せてくれた!
「や、やった…やった…!俺、今、乗ってる!乗ってるよ!!」
そいつは竹やぶからびゅーーっといった感じに空へ駆け上り、
そのまま水平飛行をしてくれて、俺を空の旅へと案内してくれた。
でもそれからわずか数秒後…
ピーポーピーポーピーポー…
救急車のサイレンが辺りに木霊す。
俺は十数メートル上空から
地面へ叩きつけられる形で落ちてしまい、
怪我してしまった。
落ちたところが柔らかな牧草地だったのもあり
軽傷で済んだが、あの落ちている瞬間は本当に怖かった。
乗り心地、結構、悪かった。
自分の意思での操縦がほとんど不可能で、
あいつは自由気ままに飛びまわるから、
それに一回転したりとかするから、
あんな鬼太郎みたいに乗ってるわけにはいかない。
それにつかみどころがなく、
びゅーっと回転しそうになった瞬間
俺は落ちてしまった。
妖怪と仲間になる時・友達となる時には、
ちゃんとその相手を確かめる必要はある。
でないと今回のようにとんでもない目に遭うこともあるから。
ほんと、慣れない事はするもんじゃない。
そのことも俺はあいつから学んだ。
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=rUmNAXBS6Ao
慣れない事はするもんじゃない 天川裕司 @tenkawayuji
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