♡N→T←♡♡♡R・・・7 ライバルはコスプレイヤー? 新たなグラドル登場!

お盆時期の猛暑の午前中、某ビッグな会場にて・・・


♪パシャッパシャパシャ


「こっちの方にも視線お願い出来ますか?」


「はい♡」


♪パシャパシャッ


「次、誘惑ポーズでこっち、お願い出来ますか?」


「はい。こんな感じでどうですか?」


♪パシャッパシャッパシャッ


「いいです!ありがとうございます!」


「はい、皆さんRUKAは一旦休憩に入ります!ありがとうございました。

午後からも引き続き参加予定ですのでこちらの方へ足を運んで頂ければと思います」


・・・・・楽屋にて


「はぁ~、すっごく暑くて疲れたぁぁぁ~!でも、今回も人が半端無いなぁ~」


「いくら趣味だからと言ってもあまり無理をすると後々響きますよ?」


「分かってるって。でも、今年も人凄かったね~。冬はどうなるんだろ?」


「まぁ、オフだからいい様なものを仕事が被ったら仕事を優先して下さいよ?」


「えぇ~?オフだけど名前を売ったり知名度上げる貢献に繋がってるじゃん?

十分にお仕事だよ!」


「それはそうなんですけれど・・・」


私はRUKA。

本名は太秦 瑠香(うずまさ るか)で、本業は高校生&グラビアアイドル。

3sizeは・・・


B:93㎝(F-cup)

W:55㎝

H:98㎝


健康が取り得の現役JKって所かな。

きょうは夏休みと仕事のオフって事で丁度いいタイミングで例の夏の一大イベントへ来ちゃってま~す♪


ちょっと気になっているサークルさんの新刊もあるからマネージャーに買って来てもらったんだけど、帰ったら思いっきり堪能しよっと♪


「オフなのであまり仕事のお話は良く無いとは思ってはいたのですが、どうしてもここの所例のライバル事務所の期待の新生2名の事が気になっていまして・・・」


「あぁ、一之瀬美亜って子とRIKOって子だよね?」


今、急激に上がって来てる子達じゃない。

ちょっと焦りは感じる部分もあるんだけど、まぁ大丈夫でしょう・・・


「来月にはどうやらあの雑誌にも登場予定だとかで大変なんですよ!」


「えっ!?まだ私も載った事無いあの雑誌の事?」


「・・・えぇ、そうなんです」


それはちょっとまずくない?

そこからまだ私、一度も話が来てないんだよね?

だとすれば、先を越されてしまう可能性が!?


「瑠香さん?冷汗と固まってしまっていますが大丈夫ですか?」


「え?・・・あ、あぁ、うん!ちょっと暑さで・・・まぁ、色々とあるわよね~・・・

何て言うの?大人の世界って幅広いわよね~?」


「瑠香さん、もしかして動揺されていますか?」


「へ?そ、そんな訳無いでしょう!?夏休みだから、お盆時期だからこうして何とかマーケットでコスプレやってる私が・・・そんな、同様とかある訳・・・無いでしょ!?」


「あの・・・しっかりと動揺されているみたいですが・・・後、文字間違えていますよ?」


「何の事かなぁ~?暑過ぎてちょっと思考力が堕ちてしまっているわね~私ったらあはははは~」


「いや、堕ちるって・・・瑠香さんの趣味が垣間見えてますよ?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あちぃぃぃ~・・・どうしてこんな大事な時にエアコン壊れたんだよ・・・」


「暑い暑いって言ってると本当に暑く感じちゃうから涼しい涼しいって言ってよ~・・・」


リビングで朝飯を食べていた俺達は、昨夜壊れてしまったリビングのエアコンの事について話をしていた。


「暑いのに涼しいって言っても暑いものは暑いんだぞ?逆に寒い時に暑いと言った所で寒い事実に変わりは無いんだ!こういう時は暑さを忘れる事でもしなきゃいけない!」


「私達の部屋にもエアコンあればいいのに・・・ってそうだ!いい事思い付いちゃった♪」


「それは両親に言ってくれよ。俺が出来る事ならやるがそればかりは両親に要相談だ・・・っていい事って何だよ?」


テーブルに向かい合って座っていた俺達。

菜々子が立ちあがると俺の背後に回って両手を肩に当てて耳元で囁き掛けて来た。


「汗だくエッチ♡・・・シよ?」


「汗だくエッチ♡・・・シよ?・・・じゃねぇんだよ!そもそも抱き付いて来るな!

ただでさえ暑苦しい状況なのにトドメ刺すつもりなのかお前は!?」


「あんなシチュエーションこう言う時しか出来ないじゃん!

だったら汗だくエッチで更に思いっきり汗を流してシャワーを浴びれば万事解決なんだよ?そんな事も分からないのお義兄ちゃん?」


「そこでどうして俺がおかしい様な言い回しされないといけない?

汗だくエッチだか何だか知らんが、そう言う事はお前が結婚する相手とだけやってろ!」


この猛暑の中、更にヒートアップする様なツッコミを入れさせるなと心の底から思っている・・・


「書棚の上から3段目、一番左のハードカバーの小説を手前に取り出してそのまま奥の方へ手を伸ばすと・・・」


随分と明確な位置を告げて来る・・・?

ん?ちょっと待て?そこの奥に置いているのってまさか!?


「憧れの義妹と汗だくエッチ♡初めての夏・・・」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~おまっ!お前なんて物見付けてんだよ!

それは・・・そう、アイツだ!鉄平!鉄平が俺と似た境遇だからお薦めだとか訳分からん事言って手渡して来たから処分するにも出来なかった大人のDVDだ!」


「ふぅ~ん♪鉄平君がね~?だったら、ベッドの壁側の床部分にあるひっそりと物が収納出来る30㎝四方の中にある・・・」


「分かった!俺が悪かったよ。悪かったからもう黒歴史は晒さないでくれないか?」


汗と冷汗が俺の顔面中を駆け巡る・・・


「どちらも、私が家を出る前には無かったよね?」


「い、いや・・・そりゃぁ中学校でそれはマズイだろ?」


「ってコトは~♪」


ニヘラ顔で俺を突いて来る菜々子・・・


「か、勘違いしないでよねっ!?べっ、別にアンタが好きだとかそう言うんじゃないんだからっ!」


「それ・・・説得力無いよ?」


ダメだったか・・・そりゃそうか・・・


「汗だくどうのはやらんぞ?いくらお前が脅しを掛けて来たとしてもだ!」


「いいよ。まぁ、流石に私だってそんな状態でしたくないよ。

するならシャワーを浴びる所から一緒に♡」


「いや、そこは、したくないよで止めておけ!仮にもお前はファンが多いグラビアアイドル様なんだからな・・・」


「そう言えば、この間菜々子が撮影中にテレビで観たんだけど、太秦 瑠香って子が菜々子がいる事務所のライバル事務所の所属タレントだって言われてたけどそう言うのって実際やっぱ仲が悪かったりとかするのか?」


「え?・・・あ、あぁ・・・瑠香さんね。うん、別に仲が悪いって訳じゃないよ。

同じ舞台に立つライバルだって言うイメージなんだと思う。


それに、私が所属している事務所と瑠香さんがいる事務所の社長はどちらも幼馴染だって聞いてるから、きっと仲自体はいいんだと思う」


芸能界って色々とあるんだな・・・


「それで?どうだったの?瑠香さん」


「え?あぁ、あんまはっきりとは観てなかったからよく分からんけど明るくて雰囲気は良さそうだった気がするぞ?後・・・何だかコスプレとかもやってるんだよな?

凄いよな、学業やりつつグラビアアイドルやって更にコスプレまでやってるんだし・・・よくそんな時間あるよなぁ~・・・」


「ムッ!・・・随分と瑠香さんにご執心じゃない?あんまはっきりと観ていなかった割に・・・」


「うっ!?・・・な、何を対抗意識燃やしてんだよ?凄いなって言ってるだけだろ?」


「地味にアニメとか漫画とかゲーム昔から大好きだったもんね~?

天井裏にある淫聖魔法少女センチュリー~悪に溺れ堕ちる~ってまたどうして一番遠くにしまってあるのかな~?」


「おぃおぃおぃおぃおぃ、待て!天井裏まで漁ってたのか?流石にお前じゃなくて俺の方がドン引きするわっ!!」


「大切な妹を奪われて~お兄ちゃんごめんなさい。私、彼の事を本気で愛してしまったの♡・・・これは机の2段目の引き出しの奥にトレーがあってその下に隠してあったよね~?」


「分かった。一之瀬美亜のDVD3枚買うから許してくれ!もうこれ以上俺の恥を晒さないでくれ給へ!」


「冗談はさておき、瑠香さんは何て言うのかな・・・私は仲良くしたいんだよ。

でも、向こうから少し当たりが強いって言うか・・・」


大体の事は察する事が出来た。

菜々子は昔から誰とでも仲良くなれる様に出来る限り努めて来た経緯がある。

きっと、今でもそう言う気持ちは持っているはずだろう。


だとすると、向こうがライバル視線を剥き出しにして来ている可能性もあると思う。


くしゃっ


「まぁ、お前はお前なりに頑張ってるんだろうな。だから、自分を信じてやって行けばいいさ。そう言う顔をした時いつもお前は何かたじろいでいる・・・悩んでいると言うのかどうか分からないが、迷ったりその場で止まってしまった時は俺を頼れ。


まぁ、芸能界云々と言うのは俺には無知だがお前自身の事なら長い事一緒に暮らして来た訳だからある程度なら何かアドバイスくらいは出来るかもしれないからな・・・」


「お義兄ちゃん・・・2話連続でカッコ付け過ぎだよ?」


「おぃお前!?そこは、お義兄ちゃんありがとうで終わっておけよ!

俺もあと一歩の所で恥ずか悔しいんだよ!!」


「あっ、電話だ。もしもし?あ、はいそうです。

そうですか、分かりました。少し分かり辛いかもしれませんので近くまで行って案内しますので。はい、宜しくお願いします。


俺、エアコンの修理の人が近くまで来ているみたいだから案内する為にちょっと出て来るから留守番頼んだ!」


「あ、もう来てくれたの?うん、分かった!行ってらっしゃい♪

気を付けるんだよ~?怪我するんじゃないよ~?歯、磨けよ~?」


「お前は出稼ぎに出る息子を見送る母親か!?」


「あはは♪まぁ、暑いから干からびて倒れない様にね~?」


「うっさい!行って来るっ!」


行ったか・・・

じゃぁ、ちょっくら現状を探るとしますか♪


「うんうん、大体この辺りに昔は置いてたからとりあえず~・・・

あっ、やっぱりあった♪・・・何々~?やっぱ妹か義妹モノばっかじゃん。

なんだかんだ言って妹属性強過ぎるってば♪

ん?これ何かな?手紙?・・・これって!?」


そうだ・・・私、お義兄ちゃんに一度だけ手紙を渡した事があったんだっけ・・・



大好きなお義兄ちゃんへ


菜々子はずっとお義兄ちゃんの事が大好きでした。

これからもその気持ちは変わらない事を誓います。

だから、菜々子とこれからもずっと一緒にいて下さい。



手紙は端的で短い文面だった。

けれど、あの時の事が鮮明に蘇る。

多分この手紙は告白するよりも前に書いたものだ。


私は、あの時からお義理ちゃん・・・鷹矢への気持ちは変わっていなかった・・・


「そっか・・・今でもしまっておいてくれていたんだ・・・

あんなに酷いコトしたのに・・・」


机の椅子に座る所の引き出しの一番奥にセロテープで貼り付けて上からノートやクリアファイルを入れてカムフラージュしている所を見ると割と見付かりたく無い所にしまってあるのだろうと思った。


灯台下暗し・・・お義兄ちゃんらしいって言わばらしいか・・・


「ごめんね?お義兄ちゃん・・・辛い思い・・・させちゃってるよね・・・んっ♡・・・お義兄・・・ちゃん♡・・・」


カーテンをそっと閉めて私はお義兄ちゃんの机の角でオ○ニーした。


「やっぱり私・・・変・・・だよね?捨てた男の元に帰らされて誘惑しろと命じられて素直に従って大切で大好きな男(ひと)を弄ぶ様な真似をして・・・

私って・・・最低だよ・・・あっ♡お義兄ちゃん・・・ダメ・・・私・・・イッちゃ・・・」


(おぃっ!嘘だろ?・・・菜々子、俺の部屋で・・・しかも俺の机の角で!?お、オナ・・・)


「はぁ~・・・やっぱり私、お義兄ちゃんの・・・鷹矢の事・・・」


(ヤバイだろ!?流石にこんな所で忘れ物取りに来たって入る勇気俺には無い!どうすれば!?・・・机の引き出しの中にある俺の財布・・・)


扉が少しだけ開いた状態で俺は一度外へ出ようと玄関の方へ向かおうとしたのだが・・・


♪プルルルル~・・・プルルルル~


(チクショー!!!どうしてこうタイミングの悪い時に電話が鳴るんだよ!?)


「お義兄ちゃんっ!?・・・嘘っ!?戻って来てたの!?」


慌てて菜々子は扉を開けて俺の方を見た。


「い、いや・・・忘れ物取りに戻って来たんだ!」


声を言葉を無理矢理出そうと俺は必死で喉に力を入れて事実を告げた。


「見てた?」


「えぇっと・・・」


「いつから!?」


「た、たった今だけ・・・ど?」


見苦しい言い訳だが、これしかない!

流石にひとり行為に及んでいた所からなど、女子に言っていい言葉じゃない!


「そっかぁ~、良かったぁ~♪今お義兄ちゃんの新しいエロビやエロ本の在処を探していたトコだったんだ~♪相変わらず妹モノ多いよね~?」


「そ、そうか・・・それはお疲れ様・・・あは、ははは~・・・」


「私、今日黒穿いてるから見られちゃうと恥ずかしいんだよね~♪」


「何言ってんだよ!?お前ピンクだった・・・はっ!?しまった!?」


「ねぇ?修理業者さん、来てもらうの少し待ってもらって大切なお話♪・・・しましょう?」


「・・・・・・はい・・・」


「玄関の鍵しめてる?」


「はい・・・」


「じゃぁ、部屋の鍵も閉めてね?」


「分かりました・・・」


えぇっと・・・どうして俺の方が弱い立場になってるんだ?

確か、勝手に俺の部屋漁ってひとり活動していたのは菜々子の方なのに・・・


「あ、あのな・・・はっきり言っておくぞ?確かにパンティーは見えた。

だけど、俺が見ていた角度からはお前の背中しか見えない!

即ち、お前がパンティーを露わにさせて何をしていたかについては俺は確証を持てない!」


「ふぅ~ん♪そっかそっか~♪・・・ねぇ?嘘はいけないんじゃない?」


菜々子の目が変わった!?

コレきっと怖いやつだ・・・下手なホラー映画よりずっと恐怖を感じるやつだ・・・


「い、いや、俺は見てない!試してみるか?俺がお前と同じ様な角度で立っているからお前は扉の外から覗いてみれば分かる!」


「声は?」


「え?・・・声?そんなの出してたのか?」


いや、小声でボソッと何かを言っているのは聞こえたが、本当に何を言っていたのかまでは聞き取れなかったぞ・・・


「そっか・・・ならいいや!」


「は?」


ならいいやって・・・俺に聞かれちゃまずい事でも言っていたのかよ?


「業者さん、早く連絡しなきゃね」


「おぃ待て!」


「え?・・・あ、私ちょっとマネージャーに連絡入れなきゃいけなかったんだった・・・ちょっと外に出るね?」


「何、自分は悪い事全くしていませんからこれにて失礼・・・みたいな面下げてんだ?大体、お前が俺の部屋に入って来て色々と物色しているのが一番悪いんじゃないのか?」


「きゃ~ん♡お義兄ちゃんに襲われるぅぅぅ~♡狼さんの目をしてるぅ~♪」


「話をたぐらかすなっ!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「と言う事で、この暑い中無事に修理完了!」


「やったね(・ω<)」


「お前が俺を部屋に留めて余計な説教しなければもっと早く終わっていたがな?」


「だから、その件については謝ったじゃん・・・これからは自室でするから許してって」


「そう言う意味じゃねぇんだよ!ひとのプライバシーを暴こうって事自体が問題だって言ってんだよ!」


「じゃぁ、こっちも言わせてもらうけど!18歳未満なのに18歳以上が楽しむ物を持っている事自体が問題だよね?」


「その件についてはぐうの音も出ねぇ・・・」


「これでおあいこよ?私だって恥ずかしいプライバシーをお義兄ちゃんに晒しちゃったんだから!」


「それはお前が俺の部屋でやってたからだろうが!?」


「ほら、やっぱり背中しか見えていなくてもちゃんと分かってたんじゃない!」


「でも・・・お前が何を喋っていたのかは本当に分からなかったんだ!お前、一体何を言ってたんだ?」


「さぁ~て?私は何と言ってオ○ニーしてたでしょうか?正解したら私の初めてを捧げます♡」


「お前、揶揄(からか)ってるのか!?」


「どうでしょう?・・・まぁ、でも・・・本心・・・なんだけどな」


「え?何て言った?よく聞き取れなかったぞ?」


「またヌイてあげるからこの話はもうお終い!」


「いらねぇ!だからその話の続きを・・・」


チュッ♡


「しつこい男の子は女の子に嫌われちゃうぞ?」


「菜々子!?・・・」


菜々子は悪戯なキスを俺の唇に交わすと空調が直ったリビングを後にした・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はい・・・バレていないと思います・・・はい、だから・・・鷹矢には・・・

お義兄ちゃんにはこれ以上もう・・・私なら何でもします・・・はい。私の身体はもう・・・えぇ・・・ですがそれだけは・・・お願いします。


私達の大切な場所なんです。それだけは・・・それ以外ならこうして私が逐一ご報告申し上げている事でご了解頂ければありがたい・・・です。

はい。分かりました。次の休みには必ず・・・伺いますのでお好きなだけ私を・・・私を抱いて下さい・・・


はい・・・分かりました。ちゃんと鷹矢にアプローチを掛け続けます・・・

鷹矢が一番不快に思うやり方で・・・ちゃんと・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夏休みも終盤に差し掛かった頃、菜々子からデートしようと誘われた。


「デートとか俺達もう恋人同士じゃないんだからただの買い物だろ?」


「まぁまぁ、今日くらいいいでしょ?相変わらず宿題はきちんと済ませて賢いお義兄ちゃんに憧れて一緒にデートする義妹ちゃん♪こう言うシチュもお義兄ちゃんなら喜んでくれるでしょ?」


「今では一流のグラドルが男の腕をしっかりロックオンしながらデレデレした顔を浮かべて街中歩いてりゃ注目されない訳がない!即ち、デートはダメだ!」


「んもぅ~!だったら変装するからお願いぃぃぃ~!」


「泣きついて来てもダメなもんはダメだ!」


「お願いってばぁ~!これからは朝晩毎日欠かさずにヌイてあげちゃうからぁぁぁ~♪」


「お前?帽子被って隠れていると思い込んでいるかもしれないけど、舌なめずりしなが卑しい笑みを浮かべているのバレバレだからな?」


「チッ!」


「舌打ちして正当化しようとしても無駄だ!・・・はぁぁぁ~・・・だったら離れろ!腕組みとかはダメだが、そこまで言うなら普通に買い物するくらいなら・・・」


「ありがとうお義兄ちゃぁぁぁ~ん大好きぃぃぃ~♡」


「ちょっ!?ちょっと抱き付くな!!ホントお前の精神バランスは訳が分からんぞ!?」


「早く行こっ?」


「お前が妨害して来たんだろうが!?準備するから1分待て!」


「わんっ♡」


「いや・・・犬を躾けているんじゃない!」


調子が狂う・・・

時折俺が見ていない所で見せているあの顔が分からない・・・

何か切なそうで儚げで悲しそうに見えたが、いつもの菜々子は明るく鬱陶しい程元気だ。


やっぱり会長が言っていた事が気に掛かってしまう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ねぇ?何処行く?」


街中を歩いていると嬉しそうに菜々子は尋ねて来た。


「お前、私服探しに行きたいって言ってたよな?だったら隣町のブティックとか行ってみるか?」


「いいねいいね♪デートっぽい感じだよ~」


「だ~か~ら~!デートじゃないって言ってんだろ?あくまで買い物に付き合わされているだけだ!」


「んもぅ~そこは「そうだね菜々子♡」って嬉しそうに言う所だよ?」


いつものウザ菜々子だ!でも、どうもここ最近の菜々子を見ていて違和感の様なものを感じるんだよな・・・


「お姉ちゃん可愛いじゃん?ちょっとお茶でもしない?」


「お姉ちゃんかなりイケてるじゃん♪」


二人の男が菜々子にナンパですか?・・・確かに変装していても綺麗だから注悪目立ちはするが・・・

仮にも男連れの二人に声を掛けるか普通?


「あの・・・これを見てもナンパなんてするつもりですか?」


俺が言い寄られている菜々子に割り込んで言って見せる。


「あ?あぁ、いたのか?冴えない感じだから気付かなかったぜ。

コレ?カレシか何か?こんな奴放っておいて俺達と一緒にいいトコ行かない?」


質(たち)の悪いナンパ師の常套句かよ・・・


「あの・・・私、彼氏とデート中なんです。や、止めてくれませんか?」


怯えている。少し離れろと事前に言っていたから菜々子は俺に触れないが手が震えている。

俺は、菜々子手をしっかりと握ってその場を逃げようとしたのだが・・・


「待てよ!?人にぶつかっておいて何トンづらしようとしてんだぁ~?テメェ、落とし前付けろよ?」


あまり荒立てずに立ち去ろうと思っていたのに、やはり相当の馬鹿だったか、こいつらは・・・


「落とし前ですか・・・では警察に通報しましょうか。

俺がいけない事してるって言うんなら警察官にちゃんと話を通せばいい。

でも・・・先に俺達の邪魔をして来てこいつにちょっかい出そうとしていた事を伝えますが?」


「な、何だよ?察呼ぼうとしているのか?お、おい、行こうぜ?こいつの目ヤバイみたいだし・・・」


「あ、あぁ、そうだな。大人を舐めてるガキ相手に無駄な時間使えねぇし行こうか・・・」


(大人ねぇ~?大の大人二人が揃いも揃って高校生に喧嘩売るとか本当に「大人」なのかなぁ~?)


「い、行っちゃったみたいだね・・・」


その声は心の底から安心して腑抜けたものだった。

余程怖かったのだろうな。


けれど、有名グラビアアイドルの菜々子にとってはこの様な経験は日常茶飯事だと思っていたけど、手の震えもまだおさまっていないし脱力している所を見るとこう言うのに慣れていないと見える。


「菜々子・・・デートしよう」


「へ?・・・今何て?」


「だからデートだ。俺としたかったんじゃないのか?」


「そ、それはそうだけど・・・どうして急に?」


「癪だけどきょうは付き合ってやるよ・・・」


何か気配の様なものを感じる。

よく分からなんが菜々子のこれまでの行動と俺への奇妙なアプローチを掛けている所から察するに、恐らく菜々子は俺を堕とそうとしている気がする。


ここは菜々子の意志に乗ってやった方が無難なのかもしれない。

街中だと誰に見られているかも分からないからな・・・


「嬉しい・・・」


菜々子の笑顔は心の底から・・・あの日見せてくれた時のものだった・・・

そう・・・俺が菜々子に告白したあの日の笑顔のままだった・・・


「お、おぅ・・・まぁ、そこのカフェテラスでちょっと休憩でもするか?」


妙な緊張感が急激に俺を襲う。

気まずい・・・言ってみたはいいが、どう接していいのか・・・


(素敵ぃぃぃ~♪あんな格好良い白馬の王子様みたいな人が実在していたなんて!?

普通に見ていれば大人しめの地味な印象を見せておきながら彼女が奪われそうになったら即座に助け出す強い心の持ち主♡


それにしてもお相手のパートナーの女性何処かで見たような?・・・ってアレ!

一之瀬美亜じゃないっ!?どうしてこんな所で!?それも彼氏連れとかあの事務所は許しているの!?・・・ってそれよりこれはネタ帳に書かなきゃ!寝取られそうになった彼女を助け出す頼もしい彼氏・・・これはいいネタになるわぁ~♡


友達の漫画家の先生にお願いして新しい漫画を描いてもらってそれがヒットしてアニメ化・・・私が一之瀬美亜のポジションで男の子を彼本人にそのままの姿でコスプレしてもらって・・・グフフフ♡)


太秦 瑠香はほんの少~しだけ頭のネジが緩かった・・・


「って何余計なナレーション入れているのよっ!?って羨まけしからんデートを!?私だって彼氏の一人や二人くらい欲しいわよっ!?どうして後輩に当たる彼女ばかりいい目に遭っているのよ!?先輩の私はまだ男っ気皆無なのにぃ~!!!」


太秦 瑠香は女学園に通っている・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あぁ~楽しかったぁぁぁ~♪」


「結局本当のデートになってしまった・・・」


何かこう、終わった後に色々と罪悪感の様なものを感じるのって、あるあるですよねぇ~?


「ありがとう・・・」


「勘違いすんなよ?あんなにすがって来たから今日くらいはって思っていただけだから・・・」


「ツンデレ♪」


「デレてねぇよ!」


こうやって久しぶりに菜々子とデートと呼べる様な事をした俺は、少しだけ懐かしさと莉子に対する罪悪感を抱いていた。


「一之瀬美亜!この様な場所で会うなんて奇遇ね?」


「えぇっと・・・さっきから私達を見てたよね?」


「きっ!?気付かれていたですってぇぇぇ~!?」


「えぇっと・・・思いっきり独り言が駄々洩れだったから割と最初の方から気付いていました・・・初めまして。俺、七条鷹矢って言います」


「こっ!?これはご丁寧に。私、七条瑠香と申します。時期貴方の花嫁になる予定です・・・」


何だか、色々とぶっ飛んだ子みたいだな・・・

この間テレビに出ていた菜々子が所属する事務所のライバル事務所のグラビアアイドルだっけ?


「鷹矢は私の彼氏だから貴女には渡しません!」


(おぃ、誰がいつ、お前の彼氏に返り咲いた?)


「くっ!?きょ、きょうはこれくらいで勘弁してやるわ!私の未来の旦那様とお近づきになれたのだからっ(汗)でも、次はもっともっと接近させてやるから覚悟しておきなさいよ~!・・・・・・きゃぁぁぁっ!」


俺達の方を見ながら突進して逃げる様に立ち去ろうとしたからだろうか。

目の前の雑木にダイブする形で彼女は俺達の視線から外れた・・・


「だ、大丈夫ですか?怪我とかしてませんか?」


俺が手を差し伸べると、顔を真っ赤にした瑠香さんは・・・


「あ、ありがとうございました・・・これって・・・運命ですよ・・・ね?」


そっちの方の「真っ赤」かよっ!?


「瑠香さん、おっちょこちょいだからもう少し落ち着いて下さい。

また怪我しちゃうじゃないですか」


菜々子が立ちあがろうとした瑠香さんの両手を引いた。


「ほ、本日は青空広がる中、お、お見苦しい所をお見せしたっ、しました・・・

それでは私は用事があるのでこの辺で・・・」


そして瑠香さんは再び駆け出して行った。

今度は流石に前をしっかりと向いて走って行ったから大丈夫だと思う・・・

うん、色々と・・・


「テレビだと冷静沈着なお姉さんっぽい印象だったのに面白い人だったな・・・」


「むぅぅぅ~・・・やっぱりテレビしっかり観てるじゃん!」


「あぁ~!もしかして妬いてるのか?道理で微妙に瑠香さんに対する言葉遣いとかがキツかったからな。そう言う事だったのか・・・」


「違うわよっ!?瑠香さんが変な事ばっかり言うからよっ!?」


まぁ、面白い子がやって来たと言う事は真実だろう。

菜々子の別れてから見せて来なかった一面を久しぶりに俺に見せてくれたのだから・・・


そう言う意味では瑠香さんの存在には感謝したいと思う。






END

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