第4話 危ない受験

中学受験に失敗してから、はー君は変わっていったような気がする。


それでも、一年生の頃は成績優秀だったし学年トップだったわ。

「はー君、こんな地域の中学校で学年トップなんてね。もし、あの中学に入ってたら、

こんな訳にはいかないのよ。

次は高校受験。今から、みんなを突き離していかなきゃ。

ママと一緒に頑張ろうね。」


はー君、何も言わないで、いつもの笑顔だったけど目が怖かった気がした。

何故だか、不安になったわ。

だから、はー君が欲しがってたクロムハーツの

バックをご褒美に買ってあげた。



進学塾も家庭教師もつけたけど、成績はどんどんさがっていく。

塾から連絡があったわ。

「ずっと休んでいますが、これからどうされますか?本人にやる気がみられないようですし

特進コースから外れて一般コースでゆっくりやってみてはいかがですか?」


何よ!入る時は期待の星とか言ってた癖に

少しスランプに入ったら、この対応!!

塾なんていくらでもあるわ。

ここがはー君に合わなかっただけよ。

塾なんて辞めてやったわ。


家庭教師がいるもの。大丈夫。

家庭教師は有名大学の院生。

はー君とも気が合ってるみたいだし。


「おかしいわね。はー君、今日は家庭教師の日なのに、、。委員会活動って言ってたけど。」

スマホに電話をしてみたわ。

何度も何度も。

全く出なかった。


「きっとはー君のことだから、みんなや先生から頼りにされちゃって帰りたいのに言い出せないんだわ。

仕方がないわ、今夜は先生には帰ってもらいましょ。」


家庭教師の先生は事情はわかりましたと言ってくれたわ。

「お母さん、こんな事をお話していいのか迷いました。隼人君の学校が終わったあとの行動をご存知ですか?

僕、何度か繁華街のゲームセンターやカラオケでたむろしているのを見かけたんです。

たぶん、今夜もその友達と一緒なんじゃないかなぁ。

じゃあ、僕はこれで失礼します。」


ゲームセンター?

カラオケ?

友達?

ママ、なーんにも聞いてないわよ、はー君。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る