いけいけ勇者様88

最上司叉

第1話

「ハァハァッ」


【ガチャ】


勇者は魔王と仲間たちと暮らしていた家のドアを開けた。


【キョロキョロ】


勇者は家の中を見渡すが誰かいる気配が無かった。


「…そうだよな…」


勇者は魔王を迎えに行くことにした。


勇者はどこかで期待していた。


自分の帰りを待っててくれるんじゃないかと。


だがその希望も砕けた。


だからもう一度初めからやり直すんだ。


魔王との新しい生活を。


「…相変わらず凄いな…」


勇者は魔王城の前に立っている。


ここまで来たはいいが正直怖い。


魔王は怒っているだろうか?


もう自分のことなど忘れて楽しく暮らしているかもしれない。


「…」


勇者は魔王城の扉に手を伸ばすが勇気が出ない。


帰ろう。


勇者は諦めて引き返そうとして踏みとどまった。


そして一緒に戦ったおじいちゃんのことを思い出した。


おじいちゃんは大切な人達を殺されてもう会うこともできない。


それに比べれば自分はまだ生きてる内に会える。


罵られるくらいなんだ。


勇者は自分の不甲斐なさに呆れつつ魔王城の扉を開いた。


【ギィィ】


古く重苦しい扉はゆっくり開いた。


前に来た時は入口付近まで入ったきりだ。


勇者は魔王を探しながら魔王城の中を見てまわる。


「…居ないな…」


勇者は半ば諦めながら中庭に出た。


眩しい光の中で誰かと目があった。


「…!!」


「!!」


勇者は魔王と見つめあいながらその場から動けなくなる。


魔王もその場から動けずにいた。


このままじゃ埒が明かない。


2人共動けずにいたが勇者は勇者を出して魔王に話しかけた。


「よ…よう…ひさ…」


勇者はそこまで言いかけたその時魔王に抱きつかれた。


「…ごめんな」


勇者は魔王を抱き締めながら謝る。


「…」


勇者はどうしていいのか分からない。


「…!!」


俺は何しにここに来たんだ。


勇者はふと我に返る。


そして勇者は勇気を出して魔王に言った。


「俺と…」

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