後悔の無い人生を異世界で~転生王【カナカリス編】~
@AI_isekai
幼少期
1章 始まり
1.プロローグ
悪夢を見た。
俺の名前は
優しくて、頼りになる存在だった兄は俺が高校に上がる頃に自殺した。俺が大学に入り地元を離れたあと、両親も後を追うかのようにして亡くなった。
家族を失った俺は、それを埋めるように、それを思い出さないように仕事に没頭し、ゲームや漫画にのめり込むようになった。
そんな時期があったからか、人と関わることを極力避けるようになり、今でもゲームに現実逃避のように没頭している。
家族を失った痛みを、少しだけ忘れることができるから。今まで忘れることができていたから。
だから、当時を思い出すような悪夢を俺は耐えることができなかった。
自分の無力さに嫌気がさす。なぜ、兄の不調に気付くことが出来なかったのか。なぜ、両親の元を離れたのか。
後悔だけが頭から離れない。
結局、仕事を無断で休んだ。
フラフラの頭で、フラフラの身体で、何かを追うように気付けば俺は山を登っていた。
「……どうやって帰ろう」
そんな行き当たりばったりで来たからだろう。登山経験なんて碌にない俺は、遭難してしまった。
いまは、残り少ない水と食料を持って崖ぐらいの傾斜の山を登っているところだ。
「帰ったら、遺品整理しないとだな」
思い出したくなくて、逃げていた。この危機を脱したら、お墓参りにも行こう。
「逃げ続けてきたんだ、もう向き合わないと――」
そこまで言い終えた次の瞬間だった。
――!!!
地震でも起きたのだろうか、大きな轟音と共に山が震え出す。
まずい。
その直感はすぐに当たることになる。
山全体が崩れ始めた。
「――落ちる」
なんとか近くにあった枝に掴まるが程なくして、それも折れる。
いつのまにか、真下は渓谷のように大きな溝が開く。
掴まるところも、足場も無くなった俺は、その渓谷へと落ちていった。
「あ………」
数秒後、激しい衝撃が襲う――。
まだ生きている、片目は潰れたみたいだが、視界はボケやながらも見える。ここは渓谷の底だ。
数百メートルの落下を耐えたことは信じられないが、奇跡的に俺は生きていた。
だが、息が出来ない。身体も熱い。
「助け……」
こんなところで、こんなあっさり、死ぬのか?
まだ、やりたいことがあるんだ。やりたいことが、やらなくちゃいけないことが出来たばっかりなんだ。
向き合うって決めたのに。
――まだ、死にたくない。
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